新しいコーチングを取り入れて3カ月後、東京医療保健大はインカレ4連覇を達成した。前の年とはまったく違う意味のある優勝だった。

　たとえば、その前の年には怒られたり、失敗することを恐れて、ボールを持った瞬間にパスしか考えなかった選手が、この大会では迷わずに攻撃し、点を取りに行くようになった。その結果、決勝で26得点を挙げ、大会MVPを受賞した。

2020年全日本大学バスケットボール選手権で4連覇を達成し、歓喜する東京医療保健大（昨年大会も制して5連覇中）©︎Naoki Nishimura/AFLO SPORT

「1年間ロジカルに、こうやって、ここで攻めるんだぞって言ってきてもやらなかったのが、（新しいアプローチをして）3カ月で『私、レブロン（ジェームズ）みたいになります』とか言うようになって、あんな活躍をするようになる。それを見たときに、僕らコーチの仕事は鍛えるとか、思い知らせるとかじゃなくて、その気にさせて、できるという気持にさせてあげることだなって思ったんです。

　その中に、技術を教えるとか、戦術を教えるとか、セットを教えるとかっていうのがあるんじゃないかなっていうことに思い至ったときに、絶対にこれだなって確信しました」

（つづく）

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