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「怒らないコーチング」を日本のスポーツの常識に…女子バスケ代表・恩塚亨HCが掲げる「五輪で金」だけじゃない野望
posted2022/04/28 17:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
AFP/AFLO
去年9月、恩塚亨はバスケットボール女子日本代表のヘッドコーチに就任した。東京オリンピックで女子代表を銀メダルに導いたトム・ホーバス(現男子代表HC)の後任という大役だ。そして、恩塚は大学で成功した「ワクワクが最強」のコーチングで、日本代表を導こうとしている。
それにしても、東京オリンピックで銀メダルという偉業を達成したチームを引き継ぐことに、プレッシャーは感じないのだろうか。そう聞くと、恩塚はさらりとこう答えた。
「プレッシャーはあると言えばありますが、ないと言えばない。コップの水じゃないですけれど、物事のどっちを見るかだと思っています。僕は、これはすばらしい志を持った選手やスタッフたちと金メダルに向けて挑戦できるすばらしい機会だと考えています。僕たちが挑戦する姿を示し、あるいは挑戦で得たものを日本のバスケット界に残すことができて、それで私もやってみようという人が増えていく。そのことへのチャレンジのすばらしさを考えたら、僕が感じるプレッシャーなどたいした問題じゃないです」
ホーバスが掲げた「オリンピックで金メダル」
ホーバス・ジャパンがやっていたことの中には、恩塚が今のコーチングで大事に思っていることがあった。ホーバスが、女子代表HCになったときに「オリンピックで金メダルを取る」と目標を掲げた、そのマインドセットだ。
「これまで一度もメダルを獲得したことがないことや、身長が低いことなどを理由に、自分たちを差し引く(過小評価する)ことなく、最高の目標を掲げたことで、選手たちの潜在意識が変わったと考えています。だから、絶対自分を差し引かないこと。なりたい自分を目指す。過去どうだったかとかではなく、金メダルを取るんだっていうマインドセット、目標設定は引き継いでいきたいと思います」
今の恩塚のコーチングでも重要な柱のひとつだ。