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30歳Vリーガーが“離島の教師”に転身…エリート街道を歩んできた“守護神”がバレー部員10人と目指す春高「一回、連れてってあげたい」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byItaru Chiba

posted2022/04/28 06:00

30歳Vリーガーが“離島の教師”に転身…エリート街道を歩んできた“守護神”がバレー部員10人と目指す春高「一回、連れてってあげたい」<Number Web> photograph by Itaru Chiba

柳田将洋らと共にVリーグ優勝に貢献したサントリーサンバーズのリベロ鶴田大樹(30歳・右)。現役引退後は鹿児島県徳之島で教師として新しい道をスタートさせる

 もともと将来は教員になることを考えて大学時代に教員免許を取得していたこともあり、数年前、教員として島でバレーを教えよう、と覚悟を決めた。

 と同時に、残りの現役生活は社員ではなくプロのアスリートとしてまっとうしようと考え、2019年に社員からプロに転向した。

 鶴田がリベロに転向したばかりの頃、サントリーで共に過ごしたプロ選手の酒井大祐(現・ジェイテクトSTINGSコーチ)の影響が大きかった。当時、鶴田はこう語っていた。

「僕が2年目の時に酒井さんがJT(サンダーズ・当時)から移籍してきたんですけど、あの人は本当にプロフェッショナルで、結果に対してストイックでした。1本に対して徹底的にこだわって、結果を出すために、周りに言うべきことは言うし、自分自身も、どんなに体がボロボロでも、周りに有無を言わせないほどやる。『バレーで生きるんだ』というものが、そこからチームに浸透していきました。

 それに、社員としてやっていると、どれだけ試合に出て活躍しても、もらえる金額は年功序列で決まってくるので、そこはモチベーションにはなりにくい。僕は7歳からバレーボールを始めて、20年以上やってきて、現役としてはもう終盤戦。だからバレー選手として、最後にガッといきたいなと。活躍しなければ給料が減って次はない、という環境の中で、自分を追い込んで、勝負したいな、集大成にしたいなという思いがあって、決めました」

 鶴田だけでなく、サントリーには酒井の姿勢に影響を受けてプロになった選手が多い。2017年にプロに転向して海外リーグを渡り歩き、2020年にサントリーに復帰した柳田将洋をはじめ、アウトサイドヒッターの藤中謙也、セッターの大宅真樹も社員からプロに転向。2連覇を果たした今季のファイナルの先発メンバー7人のうち、外国人選手を含む6人がプロ選手だった。

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