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30歳Vリーガーが“離島の教師”に転身…エリート街道を歩んできた“守護神”がバレー部員10人と目指す春高「一回、連れてってあげたい」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byItaru Chiba

posted2022/04/28 06:00

30歳Vリーガーが“離島の教師”に転身…エリート街道を歩んできた“守護神”がバレー部員10人と目指す春高「一回、連れてってあげたい」<Number Web> photograph by Itaru Chiba

柳田将洋らと共にVリーグ優勝に貢献したサントリーサンバーズのリベロ鶴田大樹(30歳・右)。現役引退後は鹿児島県徳之島で教師として新しい道をスタートさせる

 鹿児島県の奄美大島よりさらに南に位置する“徳之島”。人口約2万2千人の、闘牛が盛んなことで知られている島だ。その島にある樟南第二高校に体育教諭として赴任し、女子バレーボール部の指導も行う。部が掲げている目下の目標は、インターハイ鹿児島県予選ベスト16。昨年度は(奄美)大島地区の大会で6チーム中4位、県予選は1回戦敗退だった。

 東福岡高、東海大、サントリーという、バレー選手としてのエリートコースを歩んできたVリーガーが、なぜ、離島の学校の指導者になる道を選んだのか。

 きっかけは、サントリーに入団後、徳之島出身の知人の誘いで参加したバレー教室だった。

「小学生から高校生まで集まっていたんですけど、島の子たちの、バレー教室に向き合う熱意がものすごかったんです。本当に学びたい、うまくなりたいという思いで、目をキラキラさせて。どこでバレー教室をしても子供たちはそうなんですけど、あそこではさらに、こっちが引くぐらい(苦笑)、ものすごく貪欲でした。そういう姿を見て、この島の子たちに教えられる環境があったらなとふと考えました」

「島の子たちは運動能力が高い」

 毎年のようにバレー教室に訪れ、子供たちの変わらぬ熱量を感じるたびに、その思いが強くなっていった。バレー熱は高かったが、島には専門的な指導ができる人材がおらず、高校卒業後バレーを続ける子供はほとんどいない。「もっと広い世界のバレーを教えてあげたいな」と考えた。

「それに、島の子たちってものすごく運動能力が高いんです。バレー教室以外でも、一緒に遊んだり海に行ったりしたんですけど、走ったり跳んだり、泳いだり、岩に登ったり、そういう姿を見ると、これはすごいなと。だから、そういう子たちに本格的に指導したらどんな選手になるんだろうと、そういう興味もありました」

【次ページ】 19年に社員選手からプロに転向

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