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《独占》ネイサン・チェンは秋からイェール大学に復学…引退アリサ・リュウも「大学に行きたいの」 スケーターたちが明かした“最新進路”
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/05/01 11:05
「フィギュアスケーティング・イン・ハーレム」の25周年記念ガラパーティーに出席し、自身の今後について率直に明かしたネイサン・チェン
ジェイソン・ブラウン「日本に行くのが待ちきれない」
ジェイソン・ブラウンは黒のTシャツにシルバーのジャケットというお洒落なスタイルで登場。チェンが欠場となったモンペリエ世界選手権では、第1補欠だったがどうして行かなかったのだろうか。
「オリンピックの後、当初は代表全員がモンペリエに行く予定だったので、僕はちょっとリラックスしてトレーニングを休んでいたんです。シーズン最後だったし。(代替出場は)本当に直前に言われたので準備ができていなくて、こんなコンディションで出場するのはフェアではない、と思って諦めました」
北京オリンピックの一番の思い出は、何だったのか。
「観客が入れなくて家族も見学に来れなかったのは、残念でした。でもその代わり、アスリートたちがサポートし合ったのです。バブルの外に出ることができなかったので、他の競技の選手たちが、たくさん応援に来てくれた。それは忘れられない思い出になりました」
ブラウンは日本の「スターズオンアイス」には出演しなかったが、「ファンタジーオンアイス」の後半に出演する予定だ。
「また日本に行けるのが、本当に楽しみ。待ちきれません!」と笑顔を見せた。
名スケーターが“名指しで賞賛した日本人選手”とは?
そして年季の入ったスケートファンには懐かしい顔、1992年アルベールビルオリンピック銀メダリスト、ポール・ワイリーも登場した。北京オリンピックの感想を聞かせてくれた。
「男子のトップグループは、みんな凄い演技でした。過去4年に起きたことを思えば、これほど難しい時期がかつてあったでしょうか。そんな状況で金メダルを手にしたネイサンには、脱帽です。予想外だったことがたくさんあり、まだこれから解決しなくてはならない問題が浮上してきた。みんなにとってフェアであるような結末を望みます」。そう口にしたのは、もちろんロシアのカミラ・ワリエワのドーピング陽性事件についてだろう。
日本の選手についての感想を聞くと、ワイリーはこう答えた。
「日本の男子は全員、素晴らしかった。豊かな才能が揃っていますね。特に基礎のスケーティング技術が優れていると思った。またぼくの世代の日本男子より、みんな感情表現が豊かになったような気がするんです」。そう口にした後、改めてこう言い添えた。
「それはフェアではないかな。ぼくはフミオ・イガラシ(五十嵐文男)と競ったことがありますが、ジャンプが美しく、感情表現も素晴らしい選手だった」とワイリー。実際には五十嵐氏の方が一世代上だが、ワイリーが世界ジュニアチャンピオンになった翌シーズン、1981年NHK杯に二人とも出場している。五十嵐氏が優勝、ワイリーが5位だった。その時の演技がよほど印象的だったのだろう。
「また女子の3位になったカオリ。実力でメダルを手にして、表彰台に上がって喜ぶ姿を見て、とても幸せな気持ちになりました」と坂本花織を祝福した。
ツアーの合間にチャリティ活動に協力したスケーターたちは、5月いっぱいまで「スターズオンアイス」で全米を回る予定だ。
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