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「羽生選手のスゴさは、音のタイミングぴったりに跳ぶといったことではない」俳優・石丸幹二が語る“共演して、実感した羽生結弦の美しさ”

posted2022/04/26 11:04

 
「羽生選手のスゴさは、音のタイミングぴったりに跳ぶといったことではない」俳優・石丸幹二が語る“共演して、実感した羽生結弦の美しさ”<Number Web> photograph by Asami Enomoto

石丸幹二と共演した昨年末の「メダリスト・オン・アイス」

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いとうやまね

いとうやまねYamane Ito

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Asami Enomoto

 4年に1度の特別な五輪シーズンの、トップスケーターたちによる熱き戦いを振り返る別冊号『Number PLUS フィギュアスケート2021-2022シーズン総集編 誇りの銀盤』。同号に掲載した人気企画「アーティストが語る羽生結弦歴代プログラムの美」では今回、俳優で歌手の石丸幹二さんにインタビュー。誌面本編に掲載できなかった内容を本記事では紹介します。

 北京五輪後初となるアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」への出演が発表された羽生結弦。発売中のNumber PLUSでは、昨年末の「メダリスト・オン・アイス」での共演も記憶に新しい、俳優で歌手の石丸幹二にインタビュー。劇団四季時代にラウル役で舞台に立った『オペラ座の怪人』。その原作を良く知る立場から、インタビュー本編では羽生の役作りや垣間見える才能なども語ってくれている。

 現在、『健康カプセル!ゲンキの時間』、『題名のない音楽会』にレギュラー出演するほか、今夏には舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の出演も予定している石丸。少年期から鍵盤、管、弦と様々な楽器に触れ、東京藝術大学の音楽学部声楽科を卒業、劇団四季ではミュージカル俳優としての確固たる地位を築いてきた。退団後は舞台、映画、TVドラマ、音楽、司会と、多彩な顔を見せている。

 音楽家としての高い専門性、エンターテイナーとしても超一流の石丸。ただ、過去にフィギュアスケートとの接点がどのぐらいあったかは、インタビュー前にやや不安もあったのだが、それも杞憂に終わった。

「はじめての衝撃は、1984年サラエボ五輪のアイスダンス、ジェーン・トービルとクリストファー・ディーンの『ボレロ』です」

 話を聞けば、そのはるか前からフィギュアには親しんでいたという。

「書道の筆で例えるなら、抜く瞬間が一番大事なんです」

 その後、男女ともに日本人選手が台頭するようになり、いよいよ羽生結弦の登場となる。

「この子は注目どころじゃないな。多分ものすごいことを起こすに違いない」

 若くて勢いがあり、粗削りではあるがそんな彼は言い知れぬ魅力を感じさせた。

 Number PLUSでは、2014-2015シーズンのフリー『オペラ座の怪人』の映像を改めて見た上で、舞台役者ならではの視点で熱く語ってもらった。石丸自身は劇団四季で上演された同ミュージカルに、ヒロインの恋人ラウル役で出演している。

「羽生選手の『オペラ座の怪人』を見て思うのは、彼はプログラムの中で物語を表現しているということ。構成されている音楽によって、キャラクターや場面を演じ分けているかのように感じました」

「彼の凄さは、音のタイミングぴったりに跳ぶといったことではないんです」

 石丸の話で興味深いのは、着目点がジャンプのクオリティや一般に「音ハメ」と言われるリズムの捉え方ではなく、技の前後というところだ。その例えも独特である。

【次ページ】 「書道の筆で例えるなら、抜く瞬間が一番大事なんです」

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