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“久保建英が倒されても笛が鳴らない”スペインでの苦悩… 活路はやっぱり“韓国の至宝”との関係性?〈撮影者の視点〉
posted2022/04/25 11:02
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。久保建英の戦いぶりを、現場の空気とともに臨場感たっぷりにお届けする(外部サイトでご覧の方は関連記事などの「新着写真」からプレー写真をご覧になれます)。
アップ中にはチームメートとの冗談話で笑顔
4月19日、リーガ33節のRCDマジョルカ対デポルティーボ・アラベス戦を撮影しました。今節は残留争い直接のライバル、エルチェ戦でのアウェイの敗戦から中2日と厳しい日程で迎えました。この相手も降格圏に沈むライバルだけに、ホームで戦うマジョルカとしては、なんとしても勝ち点3を奪わないといけない試合でした。またアギーレ体制となって以降、3戦連続での途中出場が続く久保の起用法にも注目でした。
19時開催となったこの試合、1時間ほど前に発表された先発メンバーに久保の名が記載されていました。そしてキックオフ30分ほど前になると、アップのためにマジョルカのメンバーがピッチに姿を現しました。久保はイ・ガンイン、マフェオとともに、アンヘルの冗談話に笑顔で耳を傾けながら登場しました。
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まだ日が残るピッチ上で汗を流すイレブン。1分以上と通常よりはかなり長時間組まれた円陣では、モチベーションを上げる熱い会話がされたことが想像でき、レンズ越しにも徐々に戦闘モードに入るのが感じられました。
また、5試合ぶりの先発起用となった久保の入場後のピッチで顔や腕などに水をかけるルーティンを久しぶりに撮影。この試合の重要性を知るサポーターの熱気も感じられました。
闘争心を求めるアギーレのジェスチャー
降格圏に沈むチーム同士の試合は、キックオフ直後から激しいものとなりました。マジョルカ指揮官アギーレは、ベンチ前で痛む自チームのDFオリバンに“立ち上がれ”というジェスチャー、気持ちを前面に出しての戦いを要求しました。
しかし開始から5分、CKからアラベスDFルジュンに早くもゴールネットを揺らされてしまい、不穏な空気がスタジアムを包みました。
しかしホームチームには幸運なことに、アウェイチームとしては不運なことに――VARの結果、ハンドでゴールは取り消されました。VARでの検証が行われる間には、スタジアムの電光掲示板にも映像が流されたため、選手も祈るように眺めていました。