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“久保建英が倒されても笛が鳴らない”スペインでの苦悩… 活路はやっぱり“韓国の至宝”との関係性?〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/04/25 11:02
アギーレ体制で奮闘する久保建英。残留を争う一線でチームは勝利したものの、やはり結果が欲しい
そして前半11分、セットプレーの流れからマフェオのするどい折り返しを、先発起用となったアブドン・プラッツが“考えるよりも先に体が反応した”というような動きでボレーシュートを放つと、見事にゴールネットを揺らし先制。喜びを爆発させるイレブンを撮影できました。
守備に奔走する久保、攻撃は放り込み主体で……
比較的早い時間帯に先取点を奪ったマジョルカは、受けに回る時間帯が多くなりました。その中で久保は、守備面でのタスクをこなす場面が多く見られました。
また、攻撃時も前線のムリキ目掛けてボールを放り込むマジョルカの戦術によって、ボールに絡むことがほとんどできませんでしたが、狭い局面の中で、高い技術でボールをキープし、チームに時間をもたらす場面も見られました。
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我慢の時間が続きましたが、前半アディショナルタイムにムリキが混戦から抜け出しゴール。勝利を近づける追加点に、スタジアム一丸となっての歓喜。選手たちの残留にかける思いが伝わってくる瞬間でした。
テクニカルエリア最前線で指示を出すアギーレは、この試合で、ムリキとアブドンというあまり使ったことのない2トップを抜擢し勝負に出ていました。最前線の2人にボールを放り込むという久保には相性が悪い戦術で、久保自身は苦しむことになりましたが、アギーレの起用が的中したゴールでした。
後半もビハインドのアラベスが攻撃の圧を掛ける時間が続きました。それでも久保のもとにも前半よりはボールがつながる場面が増え、積極的にシュートを打っていきましたが、ゴールするには至りませんでした。
またファウルを厭わず、自陣、相手陣内でも積極的に守備面で尽力していました。ただし攻撃面では自身が倒された際に笛が吹かれず、プレーが続いてしまう場面も何度か……審判への心象的なものなのか、気になる点でした。