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甲子園の風BACK NUMBER
立浪和義はPL時代「甲子園決勝の朝も欠かさず草むしり」 名将・中村順司75歳が思い出す“一度だけ叱った日”と春夏連覇伝説
text by
間淳Jun Aida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/04/24 11:01
甲子園で大活躍したPL学園・立浪和義
「チームの中心選手であっても、偉そうな態度をすることはなかったですね。決して積極的なタイプではありませんでしたが、地道に努力して、背中やプレーでチームを引っ張っていました」
甲子園決勝の朝、仲間より30分早く起きて寮を出た
覚悟と信念。一度決めたら最後まで貫く。高校野球最終日も、立浪さんの姿勢はぶれなかった。
高校3年生だった夏の甲子園決勝。試合当日の朝、立浪さんは同級生の片岡篤史さん(元日本ハム・阪神)と、いつものように仲間より30分早く起きて寮を出た。
目的は草取り。センバツ優勝後、PL学園初の春夏連覇を誓ってから毎朝、落ち葉やごみを拾って「徳を積む」と決めていたという。日々の積み重ねの先に、特別な舞台がある。聖地での決勝、高校最後の試合となった常総学院戦に勝利して史上4校目となる春夏連覇を達成した。
PL学園に新たな歴史をつくった立浪さんは、プロ野球界にも名を刻んだ。歴代8位となる通算2480安打を記録。二塁打487本は歴代最多となっている。今シーズンからは中日の監督に就任。昨シーズンは55勝71敗17分けで5位に終わるなど、近年低迷しているチームの再建を託された。
大型補強もない中、立浪さんが選んだ道は決して平たんではない。しかし、中村さんは立浪さんの指導者としての資質に確信を持っている。
「自分に厳しく、覚悟を決めたら最後までやり抜く。周りには思いやりを持って、目配り、気配りする。立浪の人間性や能力は中日の監督でも発揮されるはずです」
名将の目には、監督としても成功する教え子の姿が見えている。
<つづく>
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