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壮絶な親子ゲンカも…荒川の下町育ち・鈴木誠也が母を泣かせた“ボロボロのアンダーシャツ”「やんちゃだけど不良ではなかった」親友が語る素顔
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/04/12 17:01
25年ぶりのリーグ優勝に貢献するなど、2016年に大きな飛躍を遂げた鈴木誠也
2009年。誠也たち8期生最後の大会。全国大会に進んだ荒川シニアはベスト8の札幌新琴似戦も4対0でリード。だが松村が頭部死球を受けるアクシデントが起こる。
「救急車が呼ばれたんですけど自分は『何があってもいい。試合に出させてください』と泣いて病院行きを拒んでいました。そこに誠也が近づいてきて『大丈夫だ。俺が絶対に打ってくるから』って言ったんです。自分はそれで病院へ行きましたが、結局最終回に後輩がサヨナラホームランを打たれて負けてしまった。試合後に球場へ帰ると、誠也が自分の元に駆けて来て『ごめんなさい、ごめんなさい』って泣き叫んでいたことを覚えています。でも誠也は約束を守ってくれたんです。その後の打席でセンターオーバーの物凄い打球を打ったんですから」
最後の夏が終わり、誠也は父と同級で町屋出身の市原勝人監督が率いる二松学舎大附高へ進む。その3年間は「自分の原点」というほどの成長を見せた。一方の松村は拓大紅陵高へと進み、2人とも寮生活で荒川の地を離れたが、その後も交流は続いた。
(後編へ続く)