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日本調教馬が中東、米国で活躍できる“リアルな理由”とは?「祖父はスペシャルウィーク」クラウンプライドがケンタッキーダービーに挑む
posted2022/04/26 06:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
KYODO
サウジカップデー(2月26日、サウジアラビア、キングアブドゥルアジーズ競馬場)で4つの重賞をゲットして世界を驚かせた日本調教馬が、ドバイワールドカップデー(3月26日、UAEドバイ、メイダン競馬場)でも、総勢22頭が8つの重賞に出走して、5勝という大きな成果をあげた。
中東の競馬場が、砂漠だった場所を人工的に造成し丁寧に整備したものであることが、日本馬好走の大きな一因と思われる。言ってみれば日本や米国と同じタイプの馬場で、その対極に欧州の自然なままの芝馬場が存在している。日本の馬がどちらでより力を出しやすいかが鮮明に見えた結果とも言える。
実利を求めるなら中東、米国へ。欧州へはロマンを求めてという傾向が、今後はさらに強まるのだろう。
驚くほど早かったクラウンプライドの決断
UAEダービー(メイダン、ダート1900m、GII、1着賞金58万米ドル≒7000万円)を強い内容で快勝したクラウンプライド(牡3歳、栗東・新谷功一厩舎、4戦3勝)が、現地からそのまま米国に渡り、ケンタッキーダービー(5月7日、チャーチルダウンズ競馬場、ダート2000m、GI)を目指す決断は驚くほど早かったが、その結果がどう出ようとも、ビッグチャンスを逃すまいとした機敏な動きと称えられていいと思う。
コロナ禍に加えて、世界情勢の不安定という大きなマイナス要因があるというのに、競馬界が活況を少しも失っていないのが頼もしい。大一番の新コンビがクリストフ・ルメール騎手と、これについても早々に発表されたことでも、陣営の本気度が伝わってくる。
クラウンプライドの父は、決してメジャーとは言えないリーチザクラウン。スペシャルウィークを父に持つダービー2着馬で、見映えのする好馬体も評価されて北海道静内のアロースタッドで種牡馬になった。初年度産駒が好調だったことで社台スタリオンステーションに出世を果たしたものの、僅か4シーズンの繁養で再びアロースタッドに戻された経歴も持っている。
天から降ってきたような孝行息子が、米国競馬の祭典と言われる超ビッグイベントでも大仕事をやってのけるようなら、ついには米国からの引き合いが来る夢の展開が待っているのかもしれない。