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皐月賞、桜花賞の勝ち馬はなぜ“人気の盲点”になっていたのか? 上位組がダービー、オークスでも好走する可能性を徹底検証
posted2022/04/24 11:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Keiji Ishikawa
今年もGIシーズンに突入しているJRA。4月半ばには桜花賞、皐月賞といった3歳クラシックレースも行われ、ますます盛り上がりを見せている。その両レースを振り返りつつ、この後につながるオークス、ダービーといった3歳牡牝の頂上決戦を占ってみよう。
ナミュールは人気が落ちれば面白い
まずは牝馬クラシック第1弾の桜花賞。今年は4月10日、いつも通り阪神競馬場の芝1600メートルを舞台に行われた。
このレースで1番人気の支持を得たのはナミュール(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)。前哨戦のチューリップ賞の勝ち馬だ。その前哨戦は直線で進路を探すのに苦労。決してスムーズな競馬ではなかったにもかかわらず最後は突き抜けてみせた。その末脚が買われて1番人気に推されたわけだが、単勝オッズは3.2倍。圧倒的な支持を得たわけではなく、結果は10着に敗れてしまった。
前々走の阪神ジュベナイルフィリーズでも1番人気だったが、スタートで大きく出遅れて4着に敗れたように、元々スタートに難しい面のあるタイプ。桜花賞ではこの馬なりには出たもののやはり決して速くはなく、加えて大外18番枠だった事もあり、後方からの競馬を強いられた。そのため終始大外を回らされる競馬になり、最後の直線は伸びそうで伸びない。先述した通り10着に敗れたのだが、タイムでみると勝ち馬とは僅か0秒3の差。人気は着順を追いかける傾向にあるので、次走で大きく人気を落とすようなら逆に狙うのも面白いかもしれない。ちなみに父はハービンジャーなので血統的には2400メートルをこなしてもおかしくないだろう。
ウォーターナビレラには注意が必要
1番人気が沈む中、ゴール前で先に抜け出したのはウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)。前々走の阪神ジュベナイルフィリーズが3着で前走のチューリップ賞は5着。いずれも先行してあと少しという惜敗を喫していたが、その2戦と同じ武豊騎手を背に、この牝馬クラシック1冠目に挑んできた。
「道中もほぼ思った通りの競馬が出来て手応えは良かったです。抜け出すタイミングも良かったですけどね……」
その天才騎手がこう言うように、ゴール前で抜け出した時はほぼ勝つ体勢。そのまま粘り込めるように見えた。ちなみにラスト3ハロンのラップを1ハロンごとにみると11秒1-11秒5-11秒5。抜け出すのが早過ぎれば最後はバテて時計を要すのだが、このラップを見る限り、決して早過ぎたわけではない事が分かる。結果はハナだけ差されての2着に敗れるのだが、こちらに非があったわけではない以上、勝ち馬を褒めるべきだろう。
ちなみにウォーターナビレラ自身が、今後距離が長くなってどうかは微妙なところ。前進気勢があって早目に先頭に立ちながらもかわされるというレースぶりだけを見ていると、距離延長は良くないのではと思えそうだが、距離が長くなる事で流れが緩めば逆に粘り腰が増す可能性も出てくる。今後の調教ぶりや陣営の手応え、コメントなどにアンテナを張って注意しよう。