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「自分の国に帰れ!」熱狂の代表選考で小松原美里&尊に届いた誹謗中傷…二人を救った“羽生結弦の言葉”とは
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byAsami Enomoto
posted2022/04/22 11:02
夫婦スケーターの小松原美里、小松原尊組は、国内での熾烈な代表争いを制し、北京五輪フィギュアスケート・アイスダンス日本代表の「1枠」を掴んだ
美里 2年くらい前に、日本スケート連盟が行っている選手への健康チェックがあったんです。検査前、スタッフの方に「お肉を食べてほしいな」と言われましたが、結果を見たら数値が良くて(笑)。結局、「このまま食べなくていいよ」って言われましたね。
一番大変だったのが、母や父の理解を得ることでした。これまで自分たちが食べてきたものを否定されているような気持ちになったそうで……。でも今では、そんな意図は全くなかったことも含めて、私がヴィーガンを選択することをとても理解してくれています。ヴィーガンとアスリートについては、Netflixで配信されている「ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実」を観るのをお勧めします。エビデンス付きで分かりやすくまとまっているのでなかなか面白いですよ。
女子選手の健康問題「他国に比べて日本は変わってきた」
――最近、フィギュアスケート選手の過酷なダイエットが話題になっています。美里さんも幼少期は、かなり食事に気を遣っていましたか?
美里 めっちゃしてましたね。周りの女の子たちもすごく細かったので、「自分もそうなりたい」って全然食べていませんでした。小学生や中学生の頃は拒食症のようになっていて、給食を食べた後にトイレで吐いていましたね。疲労骨折も多かったです。
――フィギュア女子の健康問題が指摘されるなかで、シニアの年齢を「17歳」に引き上げるとの話も出てきています。
美里 年齢引き上げには大賛成です。最近、トップ選手に関しては、健康的かどうか数値をチェックするといったサポート体制も整いつつあります。ロシアとか他の国に比べると、日本は変わってきているのかなと思っています。
尊 僕も美里と一緒で、年齢引き上げには賛成です。最近はメンタルヘルスの問題も気になっています。
フィギュアスケート界で深刻な“SNSの誹謗中傷問題”
美里 メンタルヘルス問題は深刻だと思います。フィギュアスケートや新体操みたいな「審美スポーツ」は、見た目へのヤジやアンチコメントが多いですよね。知り合いの選手が「ブタ、下がれ」とコメントされているのを見ると、SNSの問題を整備していかなきゃいけないと感じます。
――お二人も誹謗中傷を受けることはあったのでしょうか?