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「これが引き際なんだな」“世界のTK”高阪剛52歳が引退を決意した“本当の理由”…ラストマッチのRIZINへ「ヘビー級って面白い」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGantz Horie
posted2022/04/15 11:03
4月17日のRIZIN.35での試合を最後に、現役引退を迎える高阪剛。試合を控えた現在の心境とは。
「(上田幹雄選手は)秀彦以来の素材」
――やはり「最後はRIZINで」という思いは強かったわけですか?
高阪 はい。自分が2015年に現役選手として再スタートを切ったのは、12月29日のRIZIN旗揚げ戦のしかも第1試合だったので、最後もRIZINのリングにこだわりたかったですね。だから、この試合にたどり着くまでには、いろんな方に力を貸してもらいました。
――最後の対戦相手についての希望はあったんですか?
高阪 もし可能性があるのであれば、「これから出てくるヘビー級の日本人選手とやらせていただきたい」という希望を伝えてはいたんですよ。そうしたら、まさにそのとおりになったので、これは何かの巡り合わせというか、運命的なものを感じましたね。
――対戦相手の上田幹雄選手は、極真空手の世界大会優勝者で今回がMMAデビュー戦の26歳。間違いなく今後、日本を背負って立ち、世界に羽ばたいていくであろう逸材ですよね。
高阪 ものすごい逸材だと思うし、そういうヘビー級の才能ある選手が総合格闘技の世界に入ってくること自体、自分はすごくうれしいんです。対戦相手としてではなく、日本の総合格闘技界という大きな括りで考えると、これだけの素材が入ってくるのは(吉田)秀彦以来なんじゃないかな、と思うんですよ。
――そうかもしれないですね。
高阪 もちろん石井(慧)も最高の素材のひとりですけど、彼は最初から海外に目が向いていて、しっかりと自分の道を歩んでいる。だから、こと日本の総合格闘技界で考えると、10年、20年にひとりの逸材じゃないかと思います。
――ヘビー級のトップで活躍した日本人選手というのは、吉田選手にしても藤田和之選手にしても、高阪さんと同世代ですもんね。だから待望のヘビー級のホープという。
高阪 そうなんですよ。しばらくヘビー級の日本人選手が出てこなかったんですけど、いまは上田くんだけでなく、スダリオ剛もそうだし、今度デビューする弟の貴賢神(大相撲の元・貴源治)、シビサイ頌真も含めて、ヘビー級の若い選手が揃ってきた。他にはDEEPにもヘビー級の選手たちがいて、この状況自体がすごくうれしいんですね。
――そういった若い選手と最後に闘いたいというのは、どういう思いからだったんですか?
高阪 やっぱり、何かを残したいという気持ちがあるのかもしれませんね。これは対戦相手にだけでなく、今後の日本のヘビー級というものに対して、何かを刻んでおきたい気持ちがあったんだと思います。じつは、日本人のヘビー級選手と対戦するのって、今回が初めてなんですよ。