初日の西郷はパットに苦しみスコアが伸びなかった。しかしそこでしっかり自分のプレーを仕分けし、好調なショットを軸に残り2日間のゴルフを組み立てることができた。

　結果的には最終日も「31」パットと最後までグリーンに苦しみ、3週連続優勝は逃したが、うまくいかないときでもしっかり踏み止まれる心の強さを見せつけた、2位という成績だった。

トップアスリートたちは「体技心」と言葉の順番を入れ替える

　スポーツの世界では「心技体」とよく言われる。

　ただ、多くのトップアスリートたちは「体技心」と言葉の順番を入れ替えて、その3つの重要性を語ることが多い。

「まずコンディションがしっかり保たれていないと、いくら技術があっても、その技術を打席で再現できない。だからやっぱりコンディションが最初にあって、その上で技術を追い求めることができる。最後にくるのが精神面でしょう。でも、一流選手って誰を見ても体と技術はずば抜けている選手が多いですよね。そこから超一流に抜け出すために、考え方やメンタルコントロールという心の部分がポイントになる」

　これも松井さんの言葉である。

　プロ1年目から優勝こそなかったが、2位が7回と安定した成績を残してきたのは、何より体力と技術力の高さがあるからだ。そこに加えてメンタルでの成長があったからこそ、今季の目を見張る快進撃があった。

　体、技に心がついてきた。すなわち超一流への可能性を秘めた選手になってきているということなのだ。

「精いっぱい頑張った結果として、しっかり受け止めたい。ショットがいい状態のときに、パッティングを決めたいところで決め切れることが大事になってくる」

　試合を終えて西郷はこう反省を語った。

　敗れた。

　でも敗れてもなお、強さを感じさせる3日間だった。

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