“最強タッグ”スタイナー・ブラザーズはなぜ新日本プロレスを選んだのか？ 明かした「ニュージャパンの黄金時代」《WWE殿堂入り》

　世界最大のプロレス団体WWEが、年間最大のビッグイベント「レッスルマニア」に合わせて選出する名誉殿堂「ホール・オブ・フェーム」。2022年はジ・アンダーテイカー、ビッグバン・ベイダーらとともに、スタイナー・ブラザーズ（リック・スタイナー&スコット・スタイナー）のWWE殿堂入りが表彰された。

　スタイナー・ブラザーズといえば、WWE、WCW、新日本プロレスという3つのメジャー団体でタッグ王者に輝いた、1990年代を代表するタッグチーム。兄リック、弟スコットはともにミシガン大学時代オールアメリカンに選出されたアマチュアのトップレスラーで、そのレスリング技術を駆使した豪快なスープレックスや、数々の独創的な合体技を駆使した闘いで、日米のマット界で一世を風靡した。

　1991年3月21日、東京ドームで行われた新日本プロレスとWCWの全面コラボレーションイベント『スターケード in 闘強導夢』に兄弟揃っての初来日をはたし（兄リックは1987年に一度来日経験あり）、馳浩&佐々木健介と対戦。数々の合体技で観客の度肝を抜き、最後はスコットが本邦初公開のオリジナル技フランケンシュタイナーで馳をピンフォール。いきなりIWGPタッグ王座を奪取した一戦のインパクトは、今も語り草となっている。

©Essei Hara

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リックが語ったオリジナル技の誕生秘話

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　そんなスタイナー・ブラザーズの魅力はなんといっても、繰り出す技が豪快でかつオリジナリティに溢れていたこと。ツープラトンの合体技も含めた数々のオリジナル技はどのようにして生まれたのか。3年前、筆者がリック・スタイナーをインタビューした際、次のように答えている。

「オリジナル技はだいたい、ホテルから試合会場までの移動中に思いつくことが多かったね。アメリカの移動は距離が長いだろう？ 当時はだいたいひとつのクルマで、俺たち兄弟とスティング、レックス・ルガーの計4人で移動することが多かったんだが、その時、試合で使う技について話すことがよくあったんだよ。『こういうことをしてみよう、ああいうことをしよう』と、みんなでいろんなアイデアを出し合う中、例えばフランケンシュタイナーやスタイナー・スクリュードライバーが生まれたんだ。長いロードがあったからこそ生まれた結晶とも言えるし、誰もやっていない新しい技については常に考えていたんだよ」

“投げっぱなしジャーマン”はミスから生まれた？

　スタイナー・ブラザーズのオリジナル技といえば“投げっぱなしジャーマン”が真っ先に思い浮かぶ。それまでジャーマンスープレックスといえば、後方に投げてブリッジで固めるピンフォール技だったが、スタイナーは途中でクラッチを解き、驚異的な背筋力で後方に放り投げるスタイルに改良し、ファンを驚かせた。しかし、この荒技は考えて生まれたものではなかったという。

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