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KAIRIの鼓膜が破れ、スターライト・キッドも流血…「痛みがうれしいね」スターダム“両国国技館の激闘”で2人は何を伝え合ったのか?
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/04/02 17:01
WWEとの契約を終え、約5年ぶりにスターダムのマットに帰還したKAIRI。スターライト・キッドとのシングルマッチで鮮烈な印象を残した
「KAIRIを超える“白いベルトの象徴”になってやる」
2015年3月29日、後楽園ホールで宝城カイリはイオに勝って赤いベルトを巻いた。キッドがデビューしたのはその年の10月だ。
筆者は2016年1月の後楽園ホールを覚えている。メインでイオとカイリが赤いベルト戦を行った日だ。キッドはあずみ(現AZM)と第1試合で戦っていた。6年以上も前のことだが、キッドがKAIRIと今のように戦う姿を想像することはできなかった。
2016年5月から2017年5月まで、カイリは白いベルトを巻いていた。そしてアメリカに渡り、カイリ・セインになった。
KAIRIは宝城カイリでもカイリ・セインでもなく、KAIRIとしてスターダムのリングに帰ってきた。以前よりずっと、格好良くなっていた。
「世界に羽ばたいたKAIRI、最初から最後まで女優だなあ。さすがだよ。今日、自分自身に確かめたかったことを、世界のKAIRIと戦って確信が持てた。KAIRIはワンダー・オブ・スターダム、白いベルトの象徴だ。紫雷イオも破って赤いベルトも巻いた。私とKAIRI、似たもの同士なんだろう? だったら、この女子プロレス界、無差別級の中で、この体格の私が白いベルトの象徴になっていくよ」(キッド)
キッドの勢いは止まらない。気持ちは常に勝者だ。
「私はKAIRIを超える“白いベルトの象徴”になってやる。それだけじゃつまらない。赤も同時に狙ってもいいんじゃない、って思った。世界にも興味を湧かせてくれるし、いろいろなでっかい夢を掴んだ気がする。ゴッデスのベルトも取ったし、要は、グランドスラム狙っていっちゃうよ。だから、次のシンデレラ・トーナメントも優勝だ。KAIRI、オマエとは何回でも戦いたいよ。シングルでも、タッグでもな」
キッドは白いベルトや赤いベルトばかりでなく、「世界」という言葉を口にした。その野望はとどまるところを知らない。
“相思相愛”のKAIRI とキッドの戦いはこの先、さらにレベルアップしたものになるだろう。その試合を目の当たりにすることが、今からすごく楽しみだ。
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