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「看護師さんにはすっげぇ怒られて(笑)」 アジャコング51歳が復帰の裏に、“ケガとの壮絶な闘い”があった…語った“両親への感謝”
posted2022/04/01 17:00
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
Yuki Suenaga
それは、51歳のアジャコングの“初体験”だった。
昨年10月、右変形性膝関節症悪化により人工膝関節の置換手術を受け、入院、リハビリによっておよそ半年間も休場。OZアカデミー3・13新宿大会のリング上で、本人いわく「最初で最後の復帰戦」をアナウンスした。全日本女子プロレス(以下、全女)でデビューしたのは15歳。以来、全力疾走の36年間。「コロナ禍で試合ができなくなって休んだ3カ月が、今までで最長。半年もリングに立たなかったのは初めて」と言うアジャの頑強さは、過去に類を見ないものだった。
しかし、その裏では……。
◆◆◆
骨と骨がぶつかり合って…
アジャ 長年プロレスをやってきたなかで、膝は日々劣化していました。5年ぐらい前にはもう試合前に注射を打たないとできないぐらいになってて、本来なら人工関節を入れないといけないレベル。けど、注射とテーピングでだましてたんですね。でも、軟骨がすり減ってなくなっちゃった。今の日本の医療技術では軟骨再生が未完成なので、人工関節を入れるしかなかったけど、その状態でプロレスができるのかと。3年前には、軟骨の隙間に骨の欠片などが溜まってしまったものを除去、「洗う」手術を受けたんですけど、結果的には痛みが軽減することはなかった。
去年の8月ぐらいかな、歩くこともままならなくなって、レントゲンを撮ってもらったら、完全に軟骨がなくなっていた。骨と骨がぶつかり合っていて、つねに骨挫傷を起こしている状態だったんですね。50歳を過ぎて人工関節にして、1年から1年半ほど休んで戻ることができるのか。武藤(敬司)さんは両膝を手術して戻ってこられて、昨年はベルト(GHCヘビー級王座)まで獲りましたけど、あれは武藤さんだからできたことであって……。