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「試合中もずっとゲラゲラ笑っている」「子どもに『このコースどう?』って」5カ国語を操る笹生優花(20)が米ツアーで愛されまくる理由とは?
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byGetty Images
posted2022/03/31 11:05
昨シーズンに新人賞を獲得したタバタナキットと楽しそうにラウンドする笹生優花。実力と合わせて、明るいキャラクターにも注目が集まっている
――とはいえ、異国の地で戦うライバルでもある。“仲間”が増えていくことは、選手にとってプラスなことなのでしょうか?
片平 絶対に「得」ですね。笹生選手にとっても初めて回るコースが多いので、どんなセッティングなのか、コンディションなのか、どう攻めるべきなのかなど、いち早く情報を知ることができます。つまり、心の準備が整います。たとえ攻め方が自分と異なる選手でも、情報を知ることで損することはありません。仲間が多いほど情報も早く入ってくるので。
――数カ国語を操れるのも笹生選手の強みですよね。
片平 日本語、英語、タガログ語が堪能。韓国語、タイ語もちょっと話せるみたいです。本当に多くの選手とスムーズにコミュニケーションが取れていると思います。
――ギャラリーともコミュニケーションをとっているとも聞きました。
片平 そうですね、普通に話しかけてます(笑)。試合を観に来た子どもたちに「このコースどう?」とか「あなたはゴルフするの?」と。現場にいるアメリカ人のカメラマンには「それ(カメラ)、どうやって撮るの?」って。プロアマ戦で同組になったアマチュアの方々ともいつも楽しそうに回っています。
アメリカ生活の長い宮里美香も「やってくれそう」
――アメリカで長くプレーした宮里美香選手にも笹生選手についてエピソードを聞いてきました。
◇宮里選手談◇
「優花ちゃんと最初に喋ったのは、去年の3月の鹿児島の試合です。ちょっとしたきっかけで言葉を交わした途端、ゴルフの質問をブワッとされたのが印象的でした。会話の流れで食事に誘ったら、『一緒に、いいんですか!?』と素直に喜んでくれて(笑)。でも単に人懐っこいだけじゃなく『こういう場面はどういうことを考えて打つんですか?』とストレートに聞いてくる。真剣にゴルフに向き合ってることが伝わるので、優花ちゃんに質問された時はきちんと答えています。
米ツアー開幕前、アメリカの練習拠点にしているゴルフ場でも会いました。スイングは群を抜いていると思うので、私から言うことは何もありません。ただ、ショートゲームに関しては伝えられることがあったかなと。優花ちゃんから『こういうボールを打ちたいんです』と相談されて、私なりにどう打つか説明しました。『慣れない動きだから、すごく気持ち悪い』と言っていましたが、すぐに習得すると思いますよ。ポテンシャルは高いし、完璧主義と言えるほどしっかり努力できる選手。もっともっと伸び代はあると思いますし、“やってくれそう”な雰囲気がいいですよね」
“レジェンド”にもガンガン話しかける20歳
――冗談を言いつつも、学びたいと思う相手がいれば、真っ直ぐ教えを乞う姿勢が印象的です。
片平 アメリカでも先輩に対して真剣に質問している姿はよく見かけます。今季初戦に出場していたアニカ・ソレンスタムさん(スウェーデン/51歳)ですね。2人は練習ラウンドで前後の組だったこともあり、笹生選手からどんどん話しかけていました。特に印象に残ってるのは、私がホールアウト後のソレンスタムさんにインタビューしてる際、笹生選手が私の後ろでふざけていて(笑)。それを見たソレンスタムさんが「もう!」とツッコミを入れるぐらいでした。
――笹生選手にとってソレンスタムさんは大先輩ですよね。
片平 米ツアー通算72勝、米女子ゴルフ界のレジェンドですからね。若手選手は恐れ多くて、普通はなかなか話しかけられないです(笑)。これはお父さんの正和さんから聞いた話ですが、そのインタビューの後、笹生選手がパッティングの練習していたらソレンスタムさんの方から寄ってきてくれたそうです。「1時間ぐらいパッティングの個人レッスンを受けてたよ」と。そんなに可愛がられる選手って、なかなかいないと思います。