スー　青木さんはたぶん「型としてのホモソ」には順応できる人です。ホモソ仕草は全然できるし、そのなかでサバイブするテクニックは持っているんですけど、加担はしない。ホモソーシャルな世界って結局ヒエラルキーがあるじゃないですか。ピラミッドの上に立つ人が下の人を従わせるという構造なわけですが、青木さんは下に人を従えたり、自分のチームを作って長になったりはしていない。

青木　それは無理！　無理ですね。

スー　だから資質としてはホモソに向いていないと思います。良くも悪くもそのなかで生息できるけど、加担はしない。

青木　政治力みたいなものが上がっていくのがイヤなんです。「弟子」っていう言い方も大っ嫌いなの。だから年齢が下の選手にも基本的に敬語を使いますね。ごくまれに柔道をやっていた母校に練習しにいくと、悪い文化なんですけど、OBの道着を学生が洗濯したりするんです。僕は1回も頼んだことない。学生に対してもちゃんと敬称をつけます。なんなんですかね、こういう先輩後輩の上下関係って。

スー　統率が楽だからでしょう。私もそうですけど、基本的に「ルールだからこれを守ってください」みたいなのがすごく苦手なんです。そこで思考停止したくない。

「アカレンジャーやアオレンジャーじゃないんだよね」

――思考停止をしないことは、スーさんと青木さんのある意味でイレギュラーなキャリアにも影響しているのでしょうか。

青木　スーちゃんはイレギュラーなの？

スー　青木さんほどではないですけどね（笑）。ここに至るまでの経緯はさておき、お互い王道と見られることのほうが多いのかな。ただ、王道の振る舞いはできないんでしょうね。

青木　王道の振る舞いじゃない、か。

スー　たとえば私だったら、たぶん次はテレビのコメンテーターとか密着ドキュメンタリーとかになるわけです。

青木　ありそう、ありそう（笑）。なんか弁当食っただけでカッコよく見えるんだよね。

スー　でも私はそこでは輝けないんですよ。すごく大きなところで輝くタイプの人もいるんですけど、我々はそこでは輝かないと思います。もともと持っている資質がそうだから。

青木　アカレンジャーやアオレンジャーじゃないんだよね。

スー　そうそう。自分の振付じゃないと踊れないんですよ。世の中には振付師をつけて綺麗に踊れる人もいますけど、そことは全然違うと思います。

共通するのは「正当な評価をされなかった」コンプレックス

――そういった気質がコンプレックスになったことや、「自分もこうしなければ」という強迫観念を抱いたことは？

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