ハーフマラソンは旧ユニバーシアードにおいて、日本のお家芸とも言える種目だった。また、前回のナポリ大会で優勝した相澤晃、3位の伊藤達彦は、ともに昨夏の東京オリンピックに10000mで出場を果たしている。ここで結果を残すことは、さらに高いステージで戦うことにもつながっているのだ。

「彼はマラソンでピカイチの選手になれると思う」

　もう1つ、2年目の平林には新たな試みが始まる。それはマラソンへの挑戦だ。

「平林とは『来年MGC（マラソン・グランド・チャンピオンシップ、2024年パリ五輪の選考レース）の出場権を取りたいね』と話しており、この1年間の計画を立てています。夏の強化方法も、彼に関してはちょっと他と変えたいなと思っています」

　先輩の伊地知賢造とともに、来年の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会か東京マラソンで初マラソンに挑ませるプランを、前田監督は明かした。

「将来的に彼はマラソンでピカイチの選手になれると思う。足りないのは経験だと思いますし、実業団とかの強い選手と合宿をさせたりしていきたい。彼は向上心もありますし、チーム内にライバルもいます。初めてのチャレンジですけど、楽しみしかないですね」

©Miki Fukano

　平林の高いポテンシャルに期待を寄せている。

　前田監督が平林にマラソン挑戦を提案したのは、昨年秋の全日本大学駅伝の後ぐらいだったという。そして、平林もその提案を快諾した。

「『マラソン、行くか？』って言われて、最初は本気で言っているわけではないと思ったんですけど、どうやら本気のようで……。やるからには、自分も本気で取り組んでいきたいなって思っています。

　いつかはマラソンを走りたいと思っていたし、学生のうちに土方さんを超えたいと思っていたので、しっかりやっていきたいです」

平林が「MGC初の現役学生ランナー」になれる可能性は…

　土方が大学4年時の東京マラソンでマークした國學院大記録は2時間9分50秒。大阪か東京でMGCの出場権を獲得する条件は「日本人1～3位＋2時間10分00秒以内」もしくは「日本人4～6位＋2時間9分00秒以内」となっている。昨今の日本男子マラソンの活況ぶりを見れば、MGCに進出するには土方の在学中のタイムを上回ることは必須となりそうだ。

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