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青学大・駒大も抑えて“國學院大の1年生”が学生ハーフで優勝…平林清澄は“MGC史上初の現役学生ランナー”になれるか?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byMiki Fukano
posted2022/03/24 11:01
大学入学後に一気に頭角を現し、出雲・全日本・箱根と三大駅伝の全てで安定した活躍を見せてきた國學院大の平林。3月13日の日本学生ハーフマラソンでは見事に学生日本一に輝いた
平林が仕掛けたのは思いのほか早かった。当初は17kmぐらいで勝負に出るつもりだったが、競っていた選手たちに余裕がなくなりつつあるのを見るや、約14kmでペースアップを試みた。
「ちょっとペースを上げるかなぐらいのつもりだったんですけど、後ろが離れたので、“いけるな”って確信しました。あとは、“逃げ切る”という自分の課題をクリアしようと思って走りました」
5kmごとのラップタイムを見ると、アップダウンのある国営昭和記念公園内のコースにもかかわらず、10kmから15kmを14分27秒と、この日の最速タイムを刻んでいる。平林はここで一気に勝負を付けた。
課題としていた終盤の走りも、先輩の中西大翔らの追い上げをかわし、しっかりと逃げ切ることができた。これも大きな収穫だった。
「逃げ切りはしたんですけど、ラストは全然上がっていないんですよ。そこは、しっかり上げられるようにならないといけない。自分の中で課題を見つけられているので、まだまだ成長できると思っています」
課題を見出すことも忘れず、新しいシーズンに向けて、さらなる飛躍を誓っている。
國學院大の悲願だった“日本代表として世界大会”
学生ハーフで2位に入った中西と共にワールドユニバーシティゲームズ(旧名称ユニバーシアード競技大会)の日本代表にも内定し、今夏はいよいよ世界の舞台に挑む。
実はワールドユニバーシティゲームズ日本代表は、國學院大にとっての悲願だった。
2019年は、ナポリ大会の選考がかかった学生ハーフで、土方英和(現・Honda)が次点の4位、浦野雄平(現・富士通)が5位に終わり、惜しくも日本代表入りを逃した。さらに、昨年は島﨑慎愛が3位に入り内定するも、新型コロナウィルス感染拡大の影響で今夏に延期となり、日本代表は幻となった。
「やっとなんですよね」と前田康弘監督が胸を撫で下ろすように、ようやく悲願が成就する。國學院大勢では、2003年大邱大会に秦玲が出場しているが、前田監督が指揮を執るようになってからは初めてのことだ。
「前回大会で、日本人は1位、2位、3位をとっています。世界でしっかり戦いたいという気持ちがある。メダルを狙ってしっかりやっていきたい」