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「早熟なのに大器晩成」DDT竹下幸之介(26)は“現代のジャンボ鶴田”なのか? ついに“敢闘賞”受賞した男の真価とは《デビュー10周年》 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2022/03/19 17:01

「早熟なのに大器晩成」DDT竹下幸之介(26)は“現代のジャンボ鶴田”なのか? ついに“敢闘賞”受賞した男の真価とは《デビュー10周年》<Number Web> photograph by Gantz Horie

2021年「プロレス大賞」では敢闘賞を受賞し、3月20日のDDT旗揚げ25周年記念大会メインイベントに出場する竹下幸之介

ライバル遠藤哲哉との忘れられない一戦

 同時期にデビューしたライバルである両者は、これまでも何度も対戦してきたが、竹下には忘れられない一戦があるという。

「遠藤さんとは5年前、2017年4月に後楽園ホールで60分時間切れ引き分けの試合をやっていて、それが僕の中では大きな転機となる試合だったんです。当時、飯伏幸太、ケニー・オメガのふたりがDDTからいなくなって、それまで真ん中ぐらいだった僕らの“番付”が、一気に横綱、大関クラスに引き上げられた。『うわっ、どうしよう……? でも、これはもう頑張るしかないな』と思い重圧に押しつぶされそうだったんですけど、その中でやった遠藤哲哉との60分が、自分にとって5年間の集大成であり新たなスタートだったんです。それまでは立場が『若手』でがむしゃらに頑張れば良かったけれど、『これからは俺がDDTを引っ張っていく』と本気で思えた試合だったので。だから今回の遠藤戦もきっと、また新たなスタートとなる闘いになると思います」

“早熟の天才”が見据える未来とは?

 竹下は、DDT旗揚げ25周年の舞台で自身のデビュー10周年の集大成となる闘いを見せたあと、その先の未来も見据えている。それはズバリ、アメリカのメジャー団体AEWへの本格進出だ。

 AEWには昨年4月にも短期間参戦。そこでインパクトを残し海外で高評価を得たことが自信となりスランプから脱出することに成功。それが今度は長期間本格参戦することで、竹下幸之介というレスラーとDDTという団体両方のブランド力をさらに上げようというのだ。

「今はKO-D無差別級王者としての“ドラマティック・ドリーム”を見せているつもりではいますけど、これからはもっとドラマティックで、もっと大きなドリームを見せたい。それはもちろんファンに対してもそうだし、自分を慕ってくれる後輩たちにも見せたい。DDTの選手って、プロレスに対して真摯な気持ちで頑張ってる選手がほとんどなんですよ。そういう後輩たちに『頑張ってたら絶対にいいことがある』っていうところを見せたいですよね。僕がAEWという世界の舞台で活躍すれば、『俺も行けるかも』『DDTってやっぱり夢があるな』と思って、より頑張る人間が出てくる。そんな予感がするんです。

 だから3・20両国の遠藤哲哉戦で、竹下幸之介のシーズン1が大好評のうち終わって、その試合後には『シーズン2製作決定!』という予告が出る、そんなイメージです。そのためにも10年間の集大成となる試合を見せて、しっかりと勝った上で、みんなにドキドキするような未来を提示しようと思います」

 現在26歳、早熟の天才が本格的なブレイクの時を迎えるのは、これからなのである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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