キッドは“丸腰”になった。だがその価値はまったく落ちていない。むしろスターダムで担う役割はさらに大きくなるだろう。両国2連戦では、初日にタッグ王座挑戦、2日目にWWEでの活躍から日本に戻り、スターダム復帰を表明したKAIRI（宝城カイリ／カイリ・セイン）と闘うことになりそうだ。今のキッドは、それこそ“ジュニア”の枠に収まらない存在なのである。

「まだまだハイスピードのベルトで“ジュニア”がもっと輝けるプロレス界にしたかった。“当たり前”をぶっ壊したかった。でも少しは見方を変えられたかな。ベルトが私の元にあったことは正解だったと思う。ここからの第2章を見てほしい」

AZM得意の関節技を極められ、ギブアップ負けを喫したキッド

2人の闘いは“黄金カード”に

　メインに選ばれなかったことも忘れていない。

「私たちの評価は、まだメインじゃないということだったんだなと。でもAZMとはまたやることになるから。その時、かけるのは白いベルトかもしれないし、赤いベルトかもしれない。それは分からないけど、やるならメイン、いやビッグマッチのメインだね」

　AZMも「最高のライバル、キッドとはまたやり合いたい」。この長岡大会を経て、ハイスピードの“本命カード”はスターダムの、そして世界のプロレスリングシーンにおける“黄金カード”になった。次は間違いなくもっと大きな会場で、もっと注目される中での対戦になる。

　その意味では、AZMが勝ちキッドが負けた試合であると同時に“AZMvs.キッドの勝利”でもあった。ファン投票2位は“のびしろ”だ。

「これを現地で見られなかったヤツらは後悔しろ！！」

　大会2日後、キッドはそうツイートしている。やはり敗者にとっても誇らしい試合だったのだ。

試合後にはグータッチで互いを称え合った2人

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