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カープのドラ4・19歳小林樹斗が開幕ローテに入るかも!? マエケンに似た“考え方”がすごい「技術があれば精神は安定する」 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2022/02/28 17:00

カープのドラ4・19歳小林樹斗が開幕ローテに入るかも!?  マエケンに似た“考え方”がすごい「技術があれば精神は安定する」<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

チームにおいて最年少の一軍キャンプ参加者となった小林。目標は開幕ローテ入りと力強い

 その積み重ねが、その後9月29日のウエスタン・リーグ・オリックス戦での完投につながったように感じる。ニ軍での完投は広島の高卒新人では過去15年遡ってもおらず、広島ニ軍としても2年ぶりだった。

 一軍デビューを経て迎えた初のシーズンオフも、立ち止まらなかった。母校で自主トレした12月もブルペン投球を続け、1月のブルペン投球も内容にこだわった。 

「技術的にも、体力的にも、まだ未熟なところが多いので、この期間でもレベルアップしたい。長い目で見ても圧倒的な技術が必要。そこは常に求めたい」

 一軍を肌で感じたことで、意識や姿勢はまた1つ上がったようだった。

智弁和歌山・中谷監督の教え

 小林の野球への姿勢を育んだ要素のひとつに、智弁和歌山高校野球部の中谷仁監督の教えがある。

 中谷監督は98年に同校からドラフト1位で阪神に入団し、楽天や巨人でもプレー。現役15年で通算111試合の出場を経て、18年夏から同校監督に就任。当時、小林は1年生だった。

「監督は常に“俺はプロの世界で失敗したから”という、話をしてくださった。ご自身の失敗談やトッププレーヤーの取り組み方を聞かせていただいて、まだ見たことのない世界でしたが、小さなことからこだわらないと生きていけない世界なんだと。入ってみたいという思いが強くなっていきました」

 コロナ禍でニ軍寮からコンビニへの買い物も自粛しなければいけなかった時期も「逆にプラスと捉えれば、野球に集中できる」と、日が暮れてからトレーニングルームに向かう日もあった。

 プロ入団前の20年には母校に指導で訪れたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)にも「実際ブルペンで投げているときには打席に立っていただいて、その中でいろいろ聞かせていただいた」という。

 初の一軍キャンプでも、先輩選手に対して積極的に助言を求める姿が見られた。目標にたどり着くために、やれることをやる。いたってシンプルな考え方が、物怖じしない行動力につながっているようだった。

【次ページ】 前田健太に通底する技術への意識

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