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なつぽいが目指す「スターダムの絶対的ヒロイン」 上谷沙弥との王座戦は“新”ライバルストーリーへ…復帰のKAIRIとの関係は?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/02/27 11:02
2月23日、ワンダー・オブ・スターダム王座をかけて対戦したなつぽい(挑戦者)とチャンピオン上谷沙弥
NGT48のオーディション落選…トラウマの場所で防衛
上谷には「この会場で勝ちたい理由」があった。アイドル志望だった7年前、最後のチャンスとして受けたNGT48のオーディション。その会場がアオーレ長岡だったのだ。落選すると、その場で泣き崩れた。思い出というよりトラウマの場所だ。
「あの日と同じで新幹線。Maxとき351号に乗って長岡で降りて会場入りして“あぁ、7年前も来たなぁ”って。あの時は悔しい思いをしましたけど、今日はメインでタイトルマッチという最高の舞台をファンの皆様に用意してもらいました。プロレスに出会えてよかったって心から思います。苦い思い出を払拭できました」
試合後には、次期挑戦者に林下詩美とたむを指名した。3月26日、27日の両国国技館2連戦で闘いたいと言う。“打倒・林下詩美”は以前からの目標でもある。たむは白いベルト、林下は赤いベルトの前王者。その2人と連戦したいと思えるほど、今の上谷はチャンピオンとして自信をつけている。
敗れたなつぽいは「今日やってみて、上谷沙弥ちゃん、いや沙弥から白いベルトを獲りたいっていう気持ちが、胃の奥が煮え繰り返るくらい出てきました」。確かに試合前から「因縁はなくても、ここから生まれるもの、始まるものがあると思います」と言っていた。すなわち、新たなライバルストーリーだ。
なつぽいが抱く、白いベルトとKAIRIへの思い
なつぽいは白いベルトに強いこだわりを持っている。アクトレスガールズの新人時代、スターダムに参戦して憧れたのが宝城カイリ。タッグを組んだこともある。そのカイリが白いベルトに何度も挑戦し、苦闘の果てに勝った姿に感動した。自分もあんなレスラーになりたいと思った。「カイリさんのベルト」だからほしかった。
しかし、今はそれだけではない。白いベルトは憧れではなく、現実的なターゲット。上谷沙弥に勝ってチャンピオンになりたいという気持ちも芽生えた。上谷と闘う直前には、WWEから日本に戻ったカイリが「KAIRI」としてスターダムに復帰することが発表されている。2.21後楽園ではなつぽいとKAIRIが対面。KAIRIは上谷の白いベルトに興味を示していたが、なつぽいは自分がチャンピオンになって闘うと“約束”した。