フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「羽生の個人的な勝利だった」元祖“4回転王”ティモシー・ゲイブルが羽生結弦の“4アクセル挑戦”を絶賛したワケ《独占インタビュー》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/02/22 11:15
(左)北京五輪フリーでは4アクセルに挑んだ羽生結弦(右)元祖“4回転王”ティモシー・ゲイブル
確かに現在の日本において、羽生のように長い間トップを保ちながらも成長を続けてきた選手に恵まれたことが、フィギュアスケートの人気と支持を築いてきた。
「ネイサン(・チェン)も、4年前の経験があって、この北京で金メダルを手にすることができた。これからどうするのかわかりませんが、彼ならあと4年続けてトップシェープでいることは可能だと思う。イェール大学に戻るのかもしれないけれど、ぼくだったらあと1年くらい競技を続けてみようかなと思ったと思います」
元祖4回転王が作ったスケーターたちの“道しるべ”
ゲイブル自身は、もう滑っていないのだろうか。
「学生の頃はパートタイムでコーチをしたこともありますが、社会人になってからほとんど滑ることはなくなりました。これほど長い間滑っていないと、久しぶりに氷の上に上がっても、以前のような氷とのコネクションが戻ってこないんです。転ぶのが怖いという気持ちも出てきました」
最後に滑ったのは、パンデミックの前だという。先日パトリック・チャンにインタビューをした時もそうだったが(「“羽生結弦のライバル”パトリック・チャン31歳は不動産ブローカーに転身し父親になっていた…羽生、高橋ら日本勢に送ったエールとは?」参照)、彼らほどの選手でもスケートをやらない生活にあっさりと移行したというのはちょっと驚きだった。それでも、大事な思い出は忘れていない。
「実は今年のバレンタインズデイは、ソルトレイクシティオリンピックからちょうど20周年になるんです。時間のたつのが早くて、驚いています」
ソルトレイクシティオリンピックのフリーで、4回転を3本成功させて世界初の記録を作った元祖4回転王。彼が切り開き、のこした道しるべは、今日まできちんと受け継がれている。
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