「命を尽くして全力で取り組む生き方」

　山口に不思議な縁を感じている。

　本を通じて幕末の志士で萩出身の吉田松陰を敬愛するようになった。「自分を突き動かす使命に対して、命を尽くして全力で取り組む生き方」に感銘を受け、その情熱的な生きざまは己の指針として重ねる部分もある。

　その不思議な縁は当然、名塚監督とも。

2008年撮影　©Sports Graphic Number

「約20年ぶりに一緒のチームで活動することになって、ミーティングを含めてしゃべるところを見ても昔のナツさんのままだなって感じます。コンサドーレのキャプテンだったときも若い僕らに気さくに話しかけてくれて、でも締めるところは締めるっていうそのバランスが凄く絶妙だったというか。今も選手と距離を近くしてコミュニケーションを取りつつ、厳しい部分は厳しくやる。変わっていないと言えば外見も。いや、昔よりちょっと若返ったくらい（笑）。

　ナツさんに対してもそうですけど、今回、サッカーをする場をレノファに与えていただいたので、その思いに応えたいというのが大前提としてあります。チームの目標、勝利、レベルアップのために自分の力を余すことなく還元していきたい。チームにとって決して目立たなくとも、あるのとないのでは大きな違いがあるなって思ってもらえるようなパーツというかその一つになれればという思いが僕のなかにあります」

　2月20日の開幕戦、ホームでJ3から昇格してきたロアッソ熊本を迎え撃つレノファは今シーズンこそ下位からの脱却を図り、躍進を目指していく。

「宜しく先ず一事より一日より始むべし」

　何かを成そうと思ったら一つのことをその日から始めていく大切さを吉田松陰は説く。

　山瀬功治はそのためのツボを、惜しまず、余すことなく押していく──。

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