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J開幕前の調整ではなく…浦和にとって「決勝」だったスーパー杯 “リカルド監督が暗示した2-0”とタイトル獲得への飢え
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKaz Photography/Getty Images
posted2022/02/14 11:02
西川周作とともにスーパー杯を手に喜ぶリカルド・ロドリゲス監督。会心の表情から、このタイトルを本気で狙っていたことが伝わる
見逃せないのは、ディフェンスリーダーとしての自覚がびんびんと伝わってきた岩波拓也の体を張った守備だろう。
そして、「川崎に快適にプレーさせないようにする」という指揮官の狙いを体現し、何度もボールを奪った柴戸は、陰のMVPといってもいい働きだった。
岩尾や馬渡ら新戦力に目処が立ち、チーム内の戦術理解が進んでいることも確認できた。
そして何より球際での争いや闘う姿勢、勝利やタイトルへの飢餓感も伝わってきた。チャナティップの起用ポジションを探っている最中の川崎に対し、伊藤の左サイドハーフ起用はテストではなく、この試合に勝つための戦略的なものだったのだ。
ユンカー、小泉、松尾、モーベルグらが欠場しただけに
とはいえ、完璧な試合内容だったわけでもない。リカルド・ロドリゲス監督は何度もこう言っている。
「やはりもう少しボールを持って、主導権を握り、敵陣のゴール近くでプレーする時間を長くしたい」
そこで期待したいのは、スーパーカップを欠場した選手たちとの融合である。
昨季のチーム内得点王のキャスパー・ユンカー、プレーメーカーの小泉佳穂、横浜FCから加入した快速ウインガーの松尾佑介、さらに、まだ入国できていないが、新外国人選手でスウェーデン代表のダヴィド・モーベルグ。
彼らがこのチームに加わったとしたら……。
妄想は膨らむが、純粋な足し算にならないのがサッカーの難しさであり、当然のことながら誰かを入れれば誰かを外さなければならない。
果たして、リカルド・ロドリゲス監督はチームをどう仕上げていくのか。
組み合わせによる化学反応や、対戦相手に応じて使い分ける選手起用と戦術の幅は、そのままチームの可能性であり、伸びしろであり、今後に向けた楽しみだろう。
素晴らしいスタートを切りつつ、大きな余白を残してもいる――。
それが3年計画の3年目、結実のシーズンに向かう浦和レッズのポテンシャルだ。
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