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西武・中村剛也38歳に質問「昔より投手のレベル上がった?」…21年目は“ホームラン特化型”、その真意とは 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/02/08 11:00

西武・中村剛也38歳に質問「昔より投手のレベル上がった?」…21年目は“ホームラン特化型”、その真意とは<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

22年シーズンを前に“ホームランアーチスト”中村剛也(西武)にインタビュー

「うーん、球のスピードは上がってると思いますけど、10年前もみんなイカつかったですよ。ダルビッシュ(有/パドレス)、マー君(楽天)、岩隈さん(久志/元楽天ほか)がいて、和田さん(毅/ソフトバンク)、杉内さん(俊哉/元ソフトバンクほか)がいて。一概にレベルが上がったとは言えないと思います」

 スピードだけが投手を測る物差しではない。変化球の精度、球質や角度、コントロールなどさまざまな要因が絡み合う。ただし、昨季の中村はストレートを仕留めきれないシーンが目立っていた。

「去年はストレートをなかなか引っ張り切れなかったです。引っ張れないとホームランは増えないし、反対方向(ライト方向)にはたまに打てるけど、ホームランになる確率は下がる。その分、去年はホームラン数が少なくなったのかなと」

ホームランアーチストの真骨頂「軽い力感」

 たとえ思うようにいかなくても、試合は日々巡ってくる。昨季は山川穂高が故障や不振にあえいだこともあり、中村は4番打者として94試合に起用された。「4番だからといっても何も考えてないですけど」と中村は言うが、得点圏打率.317と勝負強さを発揮している。中村は唯一自分を褒めるように、こんな実感を口にした。

「1年間、常に一定の感じでできたとは思います」

 中村のバッティングの肝は、「力を入れない」という部分にある。「力は勝手に入るもの」と語り、軽い力感で打球を運んでいく。昨年は精神面もスイングも、どんな状況だろうと常に一定のパフォーマンスができたという。それは20年間もプロの一線級で戦い続ける、ベテランならではの作法だったのかもしれない。

西武一筋20年。「それに僕、人見知りなんで」

 西武一筋に20年。本拠地の名前は5回も変わり、今季から「ベルーナドーム」になる。20年も西武でプレーし続けるということは、数々の同僚を見送り続けた20年間だったとも言い換えられる。毎年のようにFAで違う環境へと飛び立つ仲間たちをどのような心境で見送っていたのか。そう尋ねようとすると、中村は「もともと(西武を)出ていく気はなかったんです」と意外な言葉を口にした。

【次ページ】 来季40歳。「若い時のほうが頑固だった」

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