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“RIZIN漢塾塾長”石渡伸太郎(36)引退のアツい舞台裏…“兄弟”扇久保博正との友情「次はお互いの弟子同士で」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2022/02/05 17:01

“RIZIN漢塾塾長”石渡伸太郎(36)引退のアツい舞台裏…“兄弟”扇久保博正との友情「次はお互いの弟子同士で」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

1月23日、石渡伸太郎は引退エキシビションで“兄弟”扇久保博正と対戦

扇久保は石渡に、常にジェラシーを感じていた

「自分がピークのパフォーマンスを出せる時に、格闘技が下火だった」

 そう石渡は振り返る。それでもキャリア終盤、ケガで痛む身体ながらRIZINでスポットライトを浴びた。

「(大舞台に)ギリギリ、爪を引っ掛けられた」

 そんな石渡に、同世代の扇久保は「ジェラシーを感じていた」と言う。最初に存在を意識したのは2005年の4月。アマチュア修斗のトーナメントだったと言う。自身のYouTubeチャンネルで、扇久保は当時を振り返った。

「自分がバンタム級、石渡選手がフェザー級で出ていて。めちゃくちゃ足を引きずっていた石渡選手が、僕の一つ前の試合に出てパンチ一発でKO勝ち。アマチュアなのに場内爆発っていう。凄い選手がいるなと思いましたね」

 同時代を生きて、しかし階級やタイトルを掴んだ団体は違い、扇久保は常に石渡を横目で見ながらジェラシーを感じていた。自分が完敗した堀口と石渡が激闘を見せたのも悔しかった。

朝倉海を破り、RIZINで花開いた扇久保

 扇久保はその後、UFCの選手発掘企画にエントリーして準優勝するも契約は逃す。輝ききれないキャリア。それが30代にして、RIZINで花開いた。地上波生中継の大晦日、朝倉海を決勝で破りGP優勝。リング上での公開プロポーズも話題になった。

 日本で一番ホットなMMAファイターとして年を越して、しかしそこで気を抜くことはできなかった。23日に石渡とエキシビションを行なうことが決まっていたからだ。

「これがあるんで、完全には気持ちをオフにできなかったですね。ヘタなものは見せられないですから。本当の試合のようには(コンディションを)作れなかったけど、常に少しでもスイッチが入ってる状態で」

 石渡の最後のリングで、その対戦相手ができたこと、その日をRIZINバンタム級JAPAN GP優勝者として迎えられたことを「素直に嬉しい」と扇久保は言った。

 エキシビション自体は「難しかったですね」。打撃など、どこまで“ガチ”でやればいいのか探りながらの5分2ラウンドだった。

「それでも、久しぶりに石渡さんの空気を感じることができて嬉しかったです。お互い堀口選手に2回負けて、負けた同士で試合するんじゃないかと思うようになって、実際に闘って。やっぱり特別な思い入れがある選手なので」

【次ページ】 石渡「おぎちゃんに負けてないっしよ(笑)」

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