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《62歳に》“日本を勝たせた鬼コーチ”エディー・ジョーンズが「最高のコーチング」をアップデートし続ける理由とは?
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byREUTERS/AFLO
posted2022/01/30 11:01
イングランド代表HCとして、2023年W杯に向けた強化の真っ最中にいるエディー・ジョーンズ
<名言3>
日本人は悪魔を表現することを抑えているのかもしれない
(エディー・ジョーンズ/NumberWeb 2022年1月6日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/851530
◇解説◇
これまでエディー・ジョーンズが発してきた言葉を振り返ってみると、ラグビー以外の分野から多くのことを吸収してきたことがよくわかる。教員時代に培ったコミュニケーション術やビジネスシーンで用いられる組織形成のノウハウ、サッカーやバスケットボールといった他競技のエッセンスを強化に落とし込んできた。
東京五輪でバスケットボール女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC(現男子代表HC)との対談でも、ある意外な人物の名前が飛び出した。
「私は日本人が消極的というか、言い方を変えれば謙虚なのは、教育の影響が強いと思います。ところが、日本人は信じられないほどの闘争心を発揮することがあります。以前、読売ジャイアンツの原辰徳監督に話を聞いた時に、『日本人は心の中に悪魔が棲んでいて、時としてそれが表現される時があるんです』と話していました。もちろん、この場合の『悪魔』とはポジティブな意味で捉えてください。なるほど、と思いました」
エディーは、プロ野球界を代表する名将の言葉によって日本人の可能性を信じた。
「日本人は悪魔を表現することを抑えているのかもしれない。教育がそうした感情表現を押さえつけてきた結果かもしれません。私は選手のなかの悪魔を、適切なタイミングで解き放つことがコーチの仕事だと理解したのです」
異国の文化を理解し、的確なアプローチで選手たちの力を最大限に引き出す。至るところにあるヒントを掴む力こそ、名将たる由縁なのかもしれない。