濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

彩羽匠「見とけよ、スターダム」 マーベラスと仙女、“女子プロレスの本流”を継承する者は? 長与千種も賞賛した“最高の試合”

posted2022/01/27 11:03

 
彩羽匠「見とけよ、スターダム」 マーベラスと仙女、“女子プロレスの本流”を継承する者は? 長与千種も賞賛した“最高の試合”<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

1月10日、マーベラス後楽園ホール大会にて対戦した彩羽匠と仙女の橋本千紘

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph by

Norihiro Hashimoto

 2005年に解散した全日本女子プロレス、通称“全女”は、日本における女子プロレスの源流というべき団体で、数々の人気選手を輩出してきた。マッハ文朱からビューティ・ペア、ジャガー横田にブル中野、アジャコング。スタッフだったロッシー小川氏はスターダムを旗揚げし“保守本流の女子プロレス”に新しい要素を取り入れて大成功を収めた。

 全女出身といえば、女子プロレス史上最大のスターとも言える長与千種を忘れるわけにはいかない。80年代、ライオネス飛鳥とのクラッシュ・ギャルズで一世を風靡。一度は引退したが復帰し、95年に自身の団体GAEA JAPAN(ガイアジャパン)を旗揚げする。

 2016年には新団体マーベラスがスタート。マーベラスにはスターダムから彩羽匠が移籍してきた。彼女だけでなく10代の少女たちが(自分が生まれる前の)映像で見た長与に憧れ、その門を叩いた。長与にはそれほどの影響力、求心力があるのだ。

 マーベラスで長与に立ち方、立ち姿の見せ方から教わり直した彩羽は、女子プロレス界のトップ選手となった。昨年は長期欠場から復帰すると、古巣スターダムのリーグ戦で好勝負を連発。10月のビッグマッチ、大阪城ホール大会ではワールド・オブ・スターダム王者の林下詩美と大熱戦を展開した。佐山聡とジャガー横田が育てた“女子版タイガーマスク”タイガー・クイーンを追い込んだ試合も記憶に新しい。

“王座管理権”をかけたマーベラスと仙女の闘い

 年が明けて1月10日、マーベラスの後楽園ホール大会では、センダイガールズプロレスリング(仙女)のチャンピオンである橋本千紘と対戦した。ガイアのタイトルであるAAAWシングル、タッグ王座の管理権をかけての闘いだ。試合直前には、同シングル王座もかけられることになった。

 王座管理権を持っていたのは仙女。昨年6月、ガイアの“一夜限りの復活興行”である『GAEAISM』でベルトの封印が解かれ、マーベラスとの対抗戦で勝利して得たものだ。仙女を率いる里村明衣子はガイアでデビューしており、いわば長与の弟子と孫弟子の闘いだった。

 ただ、この対抗戦に彩羽は負傷欠場中で出ることができなかった。自分がいない試合で勝って、それで決着になるのか。彩羽としてはそういう思いだったし、試合直後に橋本にもそう耳打ちしたそうだ。

 11月、橋本が持つ仙女のベルトに彩羽が挑戦した際には30分フルタイムドロー。“決着”への気運はさらに高まった。

【次ページ】 彩羽「マーベラスにはベルトが必要なんです」

1 2 3 NEXT
#全日本女子プロレス
#長与千種
#マーベラス
#彩羽匠
#センダイガールズプロレスリング
#橋本千紘
#スターダム
#里村明衣子

プロレスの前後の記事

ページトップ