メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「大谷翔平しかいない」エンゼルスの“開幕投手”は決まりか…対戦するアスレチックスは“大谷・高速鉄道乗り違え騒動”の因縁の相手
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2022/01/23 11:02
2021年5月28日、アスレチックス戦で投球する大谷翔平
8年ぶりのポストシーズン進出には心許ないローテーションではあるが、昨季大谷が残した数字は開幕投球に相応しい。
23先発で9勝2敗、防御率3.18。勝率は.818に及び、奪三振率は10.8。加えて1イニングあたりに許す安打と四球の数を示すWHIPは1.09と安定感を示している。チームの先陣を切りシーズンを託されるに十分な数字。日本ハム時代の15、16年以来3度目、メジャーでは初、日本人投手としては7人目の大役に異論を唱える者はいないだろう。
開幕戦のアスレチックスに思い出す、昨年の“珍道中”とは?
その開幕は3月31日、敵地でのアスレチックス戦になる。オークランドでの成績は過去4年間でこんな数字が残っている。
投手として、1勝2敗、防御率5.50。打者として、打率.222、3本塁打、10打点。相性は良いとは言えないが、快投、快打に期待したい。大谷とオークランドと言えば、忘れられないのが昨年5月27日に起こった『珍道中』だ。
実はこの日、大谷は先発予定だったが、試合開始1時間40分前に「先発回避」が突然に発表された。
チーム宿舎のあるサンフランシスコのダウンタウンからチームバスを利用し球場入りしようとした大谷だったが、サンフランシスコとオークランドを結ぶ「ベイ・ブリッジ」で車両複数台による衝突事故が発生。大谷が乗車したバスが事故渋滞に巻き込まれてしまった。全車線閉鎖の事態で復旧までは75分との発表。橋上で身動きの取れなくなった大谷と同乗していた水原一平通訳とその日バッテリーを組む予定だったカート・スズキは「BART」(高速鉄道)へと乗り換える決断を下した。
しかし、機転を利かせたつもりが、更なる遅延に繋がってしまった。4路線ある複雑な乗り換えを把握しておらず、誤った電車に乗ってしまったのだ。結果、右往左往の大遅刻。先発回避を発表したジョー・マドン監督は言った。
「登板への準備を考えれば午後4時には球場入りしなければならなかったが、1時間以上オーバーしてしまった。交通手段の問題。変更はやむを得なかった」