スポーツ百珍BACK NUMBER
「大相撲という“箱推し”なんです」「千秋楽は普通に泣いてしまう」山根千佳さんの角界愛がとてつもなく深い《インタビュー》
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2022/01/16 17:00
相撲について熱量高く語ってくれた山根千佳さん
山根 はい。記憶にしっかりと残り始めて、本格的に好きになり始めたのは、小学校の頃です。それである日、教頭先生と相撲の話をしてたんですよ。他の同級生も知ってるものだと思っていたら、友達から「何の話してるの……?」と質問されました。そこで「あれ、こんなに大相撲観ているのって私だけ?」と気付いたんですが(笑)。
ちなみに家族旅行でも、友達のみんなが「ディズニー行きたい」「遊園地行きたい」と言っているところを、両国国技館や大阪などの地方場所に行ったり、相撲部屋めぐりもしました。東京に来てからも名古屋場所ならあっという間に行けますし、相撲仲間のおうちにお泊まりしながら通うこともありました。
武蔵丸関の大きさ、水色まわしも
――すごい行動力(笑)。一番最初にハマった力士はどなたでした?
山根 武蔵丸関でした。当時、横綱でしたが、子供なのでホントにただ単純に見た目で……大きくて無敵だから好きという感じで。あと、水色のまわしをしていたのも珍しくて好きでしたね。
――なるほど。自分の頃はちょうど貴乃花や若乃花が全盛だった記憶が。
山根 なんてすばらしい! 私も「若貴ブーム」を体感してみたかったです。貴乃花関はそれこそ、ケガを押して武蔵丸関と戦った一番が、かすかに記憶があるくらいなので……。それ以降、朝青龍関と白鵬関の時代に入っていきますが、ここからは確実に記憶があります。2008年初場所の千秋楽、結びの一番が2人の横綱の相星決戦になったんですが、両者引きつけ合いの力相撲で……あの一番は本当に心奪われるほどだったんです。
――2021年に白鵬が引退した際、特集番組で観た記憶が……。
山根 まさにその一番ですね。当時の大関陣も多士済々で充実していました。魁皇関は家族みんなで応援していましたし、武双山関なども……ここもまた、いい時代でした(笑)。
大相撲という「箱推し」なんです
――話を聞いていると山根さんが20代であることを忘れてしまいそうなんですけど(笑)、相撲界全体が好きな印象を受けます。
山根 そう、「箱推し」なんです! 実は一番好きな力士について問われても、誰もが好きだから決められず……。なので、場所ごとに「今場所はこの人を応援しよう!」と自分の中でルールを作っています。推すと決めた力士は稽古を映像で観たり、コロナ禍以前は実際に稽古を観に行ったりしていました。
――稽古まで観てるんですか!