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「こんなセッターはなかなかいない」清風・前田凌吾は春高バレーの主役になる? 才能を磨いた環境と、敵将が恐れる“目”
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byMATSUO.K/AFLO SPORT
posted2022/01/04 06:01
大会No.1セッターと評価される清風・前田凌吾。3度目の春高バレーで日本一を目指す(写真は昨年度大会)
間もなく始まる3度目の春高。過去2年と比べれば平均身長も低く、上げれば決める大エースと言うべき存在はいないが、だからこそ楽しいと目を輝かせる。
「歴代春高で勝っているのは大エースがおるチームなんです。でも僕はそうじゃないと信じていて。確かに最後の1点、大切な勝負の分かれ目になる1点はあるけれど、身長がちっちゃくても、大きくても、そこで決め切れる人がエースで、その力があるかどうか、練習で見極めるのがセッターの仕事。
他のチームやったら最後は絶対エース、というところへ持って行くと思うんですけど、僕たちは試合の状況を見ながら、こっちでいくんか、裏をかいてクイックでいくんか。それを考えるのが楽しいし、見ている人が『エースが来るぞ、上から叩かれる』でなく、『どこや、どっから来るんや』と迷うぐらいが面白い。1人じゃなく、組織で戦うバレーで日本一になりたいです」
今は春高制覇、日本一を視野に、そして近い将来、見据える先は世界へ――。
3年後のパリ五輪、7年後のロス五輪に出場するような選手になりたい、と目を輝かせる前田の“これから”へつながる最後の春高で、1本目はどの攻撃を選択するだろう。やっぱり、と思うか、そこを使う? と驚かされるのか。
いずれにせよ唸らされ、声が出るのは間違いない。その瞬間が、何より楽しみだ。