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革命児・井上康生がイギリスで捨てた“チャンピオンの意識”…代表内定会見の涙には「なんて恥ずかしいことをしてしまったのかと」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byTomosuke Imai
posted2021/12/30 11:05
井上康生の実像に迫る短期連載。第7回は本人インタビュー(取材協力 公益財団法人講道館)
井上 いろんな声がありました。選手も、その所属先も不満はあったと思います。ただ、客観的に100キロ級の候補選手のレベルを見たときに(金メダル獲得は)非常に厳しかった。何か変えないと、何も起きないと思ったんです。あのとき、いちばん思い悩んで、覚悟を決めていたのは100キロ級コーチの鈴木先生だったと思います。翌年の世界選手権で100キロ級の羽賀(龍之介)が優勝したときの鈴木先生の涙がそれを物語っていました。
「1つだけ理解して欲しいんです」
――涙と言えば、今回、インタビューさせてもらった5人は「康生さんはすぐに泣く」と口をそろえていました。
井上 そうなんです。どんなシチュエーションでも、すぐ泣いてしまうんです。子どもの頃から泣き虫でしたからね。
――東京五輪の代表内定会見で涙を流されたことに関して、山口(香)さんは「あそこで泣いちゃだめでしょ」と厳しい指摘をされていました。
井上 その通りだと思いますね。あれはやってはいけません。絶対、ダメです。弱い自分が出てしまった。なんか自分だけが苦しんでいるような錯覚に陥ってしまったんです。開催が危ぶまれる中、コーチ陣もそうだし、他の競技の監督やコーチも同じように苦しんでいました。なのに、自分だけこんなに……みたいな姿を晒してしまいまして。なんて恥ずかしいことをしてしまったのかと、大いに反省しました。でも、みなさんには1つだけ理解して欲しいんです。私は泣き虫である、と。(つづく)
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