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フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「これは現実なのか」歴代バロンドール受賞者が選ぶU21最優秀選手、バルサの魂を継ぐスペイン代表ペドリ19歳が語るカンプノウの高揚
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/12/30 17:02
21歳以下の最優秀選手に贈られるコパ・トロフィーを抱いておどけるペドリ。過去2回の受賞者はムバッペとデリフト
ラスパルマスではどんな武器を身につけたのか?
質問者=ペペ・メル/ラスパルマス時代のペドリの監督
ラスパルマスでの経験がなかったら、僕は今ごろここで皆さんと話してはいなかっただろう。かつて僕は寒さのなか(笑)、レアル・マドリーのテストを1週間受けた。求めるレベルにはないというのが彼らの結論だった。それで15歳でラスパルマスに入団したのは自然の成り行きだったけど、カナリア諸島のどんな子供でもラスパルマスでプレーできるわけじゃなかった。テネリフェと並んで最も大きなクラブだからね。今季はどちらも2部で調子がいいから、どちらかが1部に昇格すれば来年は僕も試合のために実家に帰れる。
ラスパルマスでは本当に多くを学んだ。16歳でプロの世界に入った若者にとって、誰かに支え導かれるのはとても大事なことだ。ペペ・メルはその点で大きな役割を果たしてくれた。スペインの2部リーグはとてもきつい。(1部とは)まったく違うサッカーといえる。より厳しくフィジカルも強い。バルサのようにボールを持つことはできない。僕はそこで経験を得た。セグンダ(2部)でほとんどの試合に出場した(42試合。すべて18歳未満での出場)。
結局のところ、バルサへの情熱はどうなっているのか?
質問者=セルヒオ・ブスケッツ/バルサとスペイン代表でのチームメイト
小さいころは父親とペーニャ(バルセロナのサポーターズクラブ)で試合を見ていた。30人もの熱心なバルサのサポーターと一緒にクラシコを見るのは特別な何かがあった。家とは雰囲気がまったく違っていて、言葉には表せない感慨が湧いて鳥肌がたった。バルサがタイトルを獲ったときは、家の傍にある泉に飛び込んだ。でも僕がいつも心を躍らせたのは、バルサのスタイルを体現していたシャビ=イニエスタ=メッシのトリオだ。父も大好きで、彼がポゼッションとボールを保持して楽しむスタイルを僕に伝えてくれた。それで僕もいつも試合を見るようになった。
自分がカンプノウでプレーする選手になれると思っていたか。プレーしたときに何を思ったか?
質問者=ジョアン・ラポルタ/FCバルセロナ会長
デビュー戦は無観客だったけど、ピッチに立ってスタンドを見渡した瞬間に、埋め尽くした熱狂的なサポーターたちの姿を想像したら……。胸がいっぱいになった。それから観客を入れての最初の試合があって、「これは現実なのか?」と思うと心が空っぽになった。
頭をよぎったのは、ボールを受けても何も考えないようにしようということだった。考えている暇はない。瞬間的に受けたボールを瞬間的に放つ。そうやってなんとかうまくできた。何かを考えだしたらそれで終わりだ……。ただちにボールを失う。だからプレーしている間はほとんど何も考えなかった。
以前は事前に情報を得ることにまったく興味がなかった。ラスパルマスでも多少はやったけど、ここでは違う。相手のプレーを読んで、ディフェンダーがどんな動きをするかを研究する。実際に対峙したときに、相手の弱点を知っていた方がいいからね。