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フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「これは現実なのか」歴代バロンドール受賞者が選ぶU21最優秀選手、バルサの魂を継ぐスペイン代表ペドリ19歳が語るカンプノウの高揚
posted2021/12/30 17:02
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
L’Équipe
2021年のコパ・トロフィー(『フランス・フットボール』誌による21歳以下を対象にした最優秀選手賞。投票者は歴代バロンドール受賞者)は、19歳のペドリ(FCバルセロナ、スペイン代表)が受賞した。獲得した89ポイントは、2位のジュード・ベリンガム(ボルシア・ドルトムント、イングランド代表)の39ポイント、3位のジャマル・ムシアラ(バイエルン・ミュンヘン、ドイツ代表)の38ポイントにダブルスコア以上の差をつけた圧勝だった。
すべてはまるで嵐のように過ぎ去った。テネリフェに生まれた19歳の若者は、FCバルセロナとスペイン代表のミッドフィルダーとしてひとシーズンを過ごし、EURO2020準決勝と東京五輪決勝を戦った。だがそれでも、彼はまだヨーロッパで十分に知られてはいない。ペドリの等身大の姿を浮かびあがらせるためにFF誌がとったのは、彼をよく知るものたち――家族や友人たち、コーチやチームメイトなどが、それぞれ一問ずつ質問を発するというちょっと変わったやり方だった。質問者にはMotoGP世界チャンピオンのジョアン・ミルも名前を連ねる。
アントワーヌ・ブーロン記者が担当したインタビューを、前後2回に分けてお届けする。まずはその前編から。(全2回の1回目/#2に続く・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
若手トップランナーの素顔
そのとき彼は5kgのメディシンボールを両腕に抱えていた。それは受け取ったばかりのコパ・トロフィーの重さを測るために、比較として持ち出したのだった。母親が作ったバナナのケーキがテーブルに並べられ、サイドボードにはレゴで作ったカンプノウの模型が飾られている。
両親や近親者、チームメイトたちから寄せられた質問に、ペドリはすべて正面から答えた。私たち取材陣を自宅に迎える前には、バルセロナのロッカールームに現れたシャビと、彼のオフィスで1時間を過ごした。それがペドリの今の日常である。FCバルセロナというこのうえなく恵まれた環境に身を置きながら、ペドリは若い世代のトップランナーに躍り出たのだった。