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イチロー氏への質問「なぜ今もそこまでハードなトレーニングを?」高校生プロジェクトの裏で語った“頭を使わない野球への危機感”
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/12/29 17:08
女子高校選抜との試合にて投球するイチローさん
イチローさんが投げかけた「頭を使わない野球への危機感」
「2001年に僕が米国へ来てから2019年現在の野球はまったく違うものになってしまった。頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつある。野球は頭を使わないとできない競技。危機感を持っている人は結構いると思います」
幸いにも日本にはまだ選手自らが考え、動く野球が残されている。その日本野球の未来を支えていくためには――。「イチローさん高校生プロジェクト」の根幹はここにある。自らが手本を示し、感じ取った上で技術を培い、考えてプレーする力を養ってほしい。イチローさんの思いはここにある。
初の女子指導も含め、このオフの4回の指導を終えたイチローさんは笑顔で話した。
「女子の野球熱は男の子に全然負けていないというか、こうやって野球をやる子たちというのは、きっと男子よりもそういう思いが強い子が多いんじゃないかと思う。あの年代の子たちの野球はすごく面白いですね。それはプロの世界にまったくないものがある。やっぱり一緒にできる、一緒にやるというのが大事だと思いました。(みんな)心が真っ直ぐだし、本気で目指しているし、先をね。本当に気持ちいいですよ」
日本野球の未来を支えるために、そのために今の自分にできることは何か。真摯に向き合った指導の中で、イチローさんは高校生から日本野球の明るい未来を感じとった様子だった。