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鹿島の監督に就任したスイス人指揮官レネ・ヴァイラーってどんな人? 「ペップのようだ」と評されるその指導哲学とは
posted2021/12/27 17:03
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
12月10日、鹿島アントラーズの新監督にレネ・ヴァイラーが就任すると発表された。スイス生まれの48歳。スイスのサッカー、スイスの監督と聞いてイメージの湧く日本人は少ないだろうし、ヴァイラーの知名度もそこまで高くないと思われる。
ブラジルとの絆が強い“常勝軍団”鹿島が、初めて指揮を任せる第二の外国籍監督とは、いったいどんな人物なのだろう。
スイスの指導者チェックシステムはドイツより厳しい
スイスは、世界的に見ても厳しく指導者育成がされている国だ。先日ドイツプロコーチ連盟(BDFL)主催の指導者講習会に参加してきたのだが、そこで元FCバーゼル育成部長のビリー・シュミットによる興味深い講義があった。
「スイスでは、指導者の活動が常にチェックされるシステムがある。クラブは、誰がどのカテゴリーを率いているのか、どのくらいの出席率か、どのような練習をしているのか、問題点はないかなど、事細かく記録することが求められている。そうすることで、指導者講習会の際に、その指導者が所属クラブでどのような取り組みをしているのかを確認することができる」
講習会には、プロコーチライセンス(世界最高峰の資格と言われる、UEFA-S級相当)を取得している指導者も数多く参加していたが、「スイスはドイツよりも相当厳しい」と、一様に感心していた。
「とりわけ、UEFAプロライセンスは厳しい門だ。トライアルには最大30人参加できるが、2日間かけて適性が審査されていく。そして、トップの成績から12人だけが先に進める。スイスには1部10クラブ、2部10クラブ、そして協会における仕事を合わせてもそこまで多くのポストがあるわけではない。ライセンス取得者は沢山必要だが、UEFAプロとなると、多ければ多いほうがいいわけではない。厳選された、確かな実力を持つ指導者だけが参加すべきというのが、我々の考えだ」
足の怪我により28歳で現役生活にピリオド
ヴァイラーは、そんなスイスで高く評価されている1人だという。講習会後の懇親会でシュミットに尋ねると、「ヴァイラーは人を導くことができる優れた指導者だ」と答えてくれた。
現役時代はDFとしてスイスの名門FCチューリッヒなどで活躍していたが、足の怪我により28歳でプロ選手生活にピリオドを打った。
引退後、すぐに指導者一本でセカンドキャリアをスタートさせたわけではない。まずは広告代理店で働き、その後、大学へ入学。コミュニケーション・マネージメント学を学び、卒業している。「知的で総合力のある指導者」と評価されるヴァイラーだが、その下地はこの時期に作られたものだろう。