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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「高校行ってないです。友達いないです。そんな私に目標ができた」“キモオタ”たちを魅了する悪の華・鹿島沙希の女子プロレス道
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/12/26 17:03
スターダムで活躍する鹿島沙希。女子プロレスに出会うまでは「何もない青春時代」を過ごしていたという
「岩谷麻優だったら何をやっても大丈夫」
タッグ王座は取ったことがある鹿島だが、シングル王座にはまだ就いていない。
「シングルのベルトは取りたいです。今一番狙っているのはSWA世界王座。朱里から剥ぎ取りたい。SWAは影の薄い空気みたいなものになっているから、私が価値あるものにしたいですね。こんなもやしみたいのが朱里から取れるはずがない、とみんな思っているだろうけど(笑)。まあ見ていなよ、って感じです」
コロナ禍によって外国人レスラーが参戦できず、SWA世界王座というタイトルの存在意義はかすんでいるが、もし仮に鹿島が奪取すれば見方が変わることになるかもしれない。10月の大阪城ホールで急きょ欠場した小波の代役として朱里に挑んだこともあって、SWAのベルトが鹿島の脳裏に深く刻まれたのだろう。
「スターダムでやっている以上は、赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)は取りたいですよ。その気持ちは誰にでもあるはず。林下詩美、すごいなと思いますよ。あの貫禄なに? デビューして、あっという間にトップになって……でも試合を見たら、誰もが納得するしかないと思います。詩美が練習生のときに、一緒に練習したこともある。詩美に挑戦してみたいという気持ちはあります。でも、岩谷麻優が持っていたら、やっぱりそっちの方がいいかな。シングルでめっちゃ戦っているんですけど、タイトルマッチはやったことない気がします。無観客の後楽園でランバージャックもやりましたね。懐かしい」
鹿島はスターダムのアイコンと称される岩谷麻優への特別な思いを語った。
「昔、一緒にやっていて、戻ってきて、また一緒になって、私がSTARSを裏切って。いい意味で『この人だったら何やっても大丈夫だ』っていうのが無意識の中にあるんでしょうね。岩谷麻優とやるときは生き生きしている、と周りからも言われます。そのときの感情を全力でぶつけているからだろうな」
鹿島と岩谷の試合をまた見たい。できることなら、ベルトをかけたタイトルマッチで。そう伝えると、鹿島は嬉しそうに不敵な笑みを浮かべた。
(琉悪夏編に続く)
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