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「高校行ってないです。友達いないです。そんな私に目標ができた」“キモオタ”たちを魅了する悪の華・鹿島沙希の女子プロレス道 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2021/12/26 17:03

「高校行ってないです。友達いないです。そんな私に目標ができた」“キモオタ”たちを魅了する悪の華・鹿島沙希の女子プロレス道<Number Web> photograph by Essei Hara

スターダムで活躍する鹿島沙希。女子プロレスに出会うまでは「何もない青春時代」を過ごしていたという

「プロレス自体はそんなにやってないのに、キャリアだけ長くなっちゃって(笑)。周りも気を遣ってくれたんじゃないかな。戻ってきてからは、自分のことだけ考えていちゃいけないんだな、って思うようになりました。視野は広くなった。でも、同時にネガティブ思考もあって、『自分がやるより下の子が出ていった方がいい』とか思っちゃう。もちろん、ガツガツいきたい気持ちもありますけど、それよりも『後輩をプッシュしよう』みたいな」

 年齢を重ねたことで、鹿島は間違いなく大人になった。デビューした当時と復帰後の現在を比べて、こんな本音を口にしている。

「今は心から毎日が楽しいです。昔はたぶん……楽しいと思える余裕がなかった。大好きなプロレスができることは楽しかったんでしょうけど、周りも自分も見えていなかった」

「ガリガリでプロレスやるな」と言われても気にしない

 2021年、鹿島は28歳になった。30歳という節目が近くに迫っているが、「引退」の二文字はまったく頭にない。

「25歳近くになってプロレスに復帰して、そのときは『30歳になったらやめよう。それか、3年間きっちりやったらやめよう……』と思っていました。でも1年経った頃には、できるところまでやろうと。未来のことも何も決めずに、とにかくできるところまでやりたいです。もう30歳でやめようという気持ちは全然ない」

 元々所属していたSTARSからヒールターンして加入した悪の軍団・大江戸隊も、鹿島には水が合っているようだ。

「大江戸隊は居心地最高ですよ(笑)。若い子たちがいてガツガツはしているんですけど、蹴落とそうとか、陰湿なイジメとかは一切ない。みんなでみんなを盛り上げて、目立たせようとしている。どちらかというと、STARSは『自分のことは、自分で』という感じだった。大江戸隊に入って“仲間”というものを感じました。大江戸隊に入った選手は、みんな生き生きしていますね」

 大江戸隊への加入は、フィジカル面にも好影響があった。元々スレンダーな体型の鹿島だが、このところ体重が増えているという。

「復帰してから5キロくらい増えています。最近コスチュームがきつかったりしますから。ただ波が激しいんで、すぐに減っちゃうときもある。体重問題は昔から言われ続けていて、同じ体重の人がいても、自分だけ『素人みたいな体だ』、『ガリガリでプロレスやるな』とか言われますけど、太れないなりに自分で工夫してやっていけてるから何言われても気にしてないですね。プロレスって一般的にパワーが大事だと思われていますけど、細い体型を活かした技で大きな相手に絡みつくのは自分の持ち味。ウラカン・ラナとかルチャ系の抑え込みも得意ですよ」

【次ページ】 「岩谷麻優だったら何をやっても大丈夫」

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