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大人気番組『SASUKE』の演出家が明かす“知られざるウラ側”と名物エリア誕生秘話「クリフハンガーは山田勝己さんの懸垂を見て…」
text by
平田裕介Yusuke Hirata
photograph byWataru Sato
posted2021/12/28 11:06
『SASUKE』第一回から演出として番組に携わる乾雅人さん
『SASUKE』の大規模セット、安全対策のウラ側は…
ーー毎回、緑山スタジオのオープン・セットの敷地をフル使用しての収録なのですか。
乾 ほぼほぼフルでやっていますね。実況アナウンサーやカメラマンが待機する場所を中央に据えて、そこから全方位に向かって4つのステージを抜けで撮れるように配置してます。
引きじりで全体のセットを撮りたいんですよ。1stステージをやってる時に、向こう側に2ndステージや3rdステージが見える。2ndステージをゴールした時に、向こう側に3rdステージが見える。そこで終わらずに次があるといった、繋がりのあるコースにしたかったので。そうしたレイアウトにするには、緑山をフルで使わないとダメなんです。
ーーセットがセットだけに、安全対策も大変そうですね。
乾 世界一安全なセットだと思っていますね。どこで落ちても怪我をさせない自信があります。運動会の「よーいドン!」でアキレス腱を切っちゃうお父さんだっているわけですから、どういうタイミングで怪我をするかまでは把握することはできません。ただ、「絶対に怪我はさせないぞ」という意気込みを持って、美術さんも制作サイドも臨んでいます。
TBSに安全対策委員会があって、そこで我々も「今回、こういうセットを作ります」とプレゼンをしてOKをもらわないとダメですし。さらにリハーサル日と収録日にも委員会のほうで総点検してもらうんですよ。まずは参加してくれる方々が、安心して楽しめて、そのうえでベストなパフォーマンスを出せることを大事にしてますね。
総合演出家が出場者に「すまない!」と思っていること
ーー撮影のスケジュールはどういった感じなのでしょうか? ここ2年は、コロナの問題も絡んでしまいそうですが。
乾 現在は、3日取っています。初日が、ゼッケン1~60番までの1stステージ。2日目が、ゼッケン61~100番までの1stステージと2ndステージ。3日目が、3rdステージとファイナルステージという切り方です。コロナで100人を一堂に集められないし、労働時間も守らないとダメですから、ゼッケンの番号順に5人のグループに分けて順々に収録していってます。
ーー3日に分けての収録だと、日によって「今日は風が強い」「日差しが強い」といった当たり外れが出てきますよね。そこで出場者たちのコンディションも変わってしまいそうですけど。
乾 そこは、もう運ですよね。台風が上陸しているさなかで収録したこともありますから。ケイン・コスギさんがファイナルステージに挑んだ時も、土砂降りでしたね。寒かったり、暑かったり、雨に降られたり、嵐に吹かれたりと、どんなタイミングでもやらなきゃいけないのは、出場者たちもそういうものだと理解してくれています。「自分の時は雨だったのに、あの人の時は晴れているなんて不公平だ」なんてことは、誰も言わないです。運も含めて『SASUKE』だと。とはいえ、僕らのほうは「すまない!」とは思っていますけども(笑)。《続く》
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