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なぜ『SASUKE』で“一般人”は輝くのか? 総合演出家・乾雅人が語る『SASUKE』だけの魅力「山田さんと秋山さんが気づかせてくれた」

posted2021/12/28 11:07

 
なぜ『SASUKE』で“一般人”は輝くのか? 総合演出家・乾雅人が語る『SASUKE』だけの魅力「山田さんと秋山さんが気づかせてくれた」<Number Web> photograph by ©TBS

天空にそびえるファイナルステージ。今年は何人の出場者がここにたどり着くことになるのだろうか

text by

平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

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©TBS

 今年で25年目、39回目を迎えるTBSのスポーツ・エンタテインメント番組『SASUKE』。 その総合演出を務めているのが、乾雅人氏(57)だ。
 そんな彼に山田勝己氏をはじめとする出場者たちとの距離感、競技以外に隠された『SASUKE』の魅力、難関を制覇した出場者たちの共通項などについて、話を聞いた。(全2回の2回目/前編はこちら)。

◆◆◆

自作セットで練習しても、どうしても本番で失敗する深いワケ

ーー「ミスターSASUKE」こと山田勝己さんを筆頭に、自宅の敷地に練習セットを作っている方がいますよね。乾さんのお話にも出てきた、日本各地でグループが生まれる起点にもなるような方といいますか。ああした方々から「うちで練習用のセットを組みたいので、障害物の図面をください」などお願いされることはあるのでしょうか?

 図面はお渡しできないので、みなさん目見当で作られてます。テレビの画面をキャプチャしたものをベースにして、CADで図面を描いて作ってしまう。有名な方だと、群馬で水道屋さんをやっている松田大介さんとかね。

 テレビの美術は、尺貫法で作ってるんですよ。9cm、15cm、30cmと、3cm刻みで成り立っている世界。で、使う材木1本の基本が、1m80cmなんですね。そういうのを美術さんだけでなく、大工や内装業をやられている方はわかっているから、テレビでパッと見ただけでおおよその高さと寸法が出せるし、作れるんです。

 ところが、いざ『SASUKE』の現場に来るとちょっと違うんです(笑)。少しのズレなんですよ。家で1000回も練習をやっていても、どこかが3cm違うだけで大きく違ってしまう。そして、ほとんどの方が落ちてしまうという。

SASUKEオールスターズとの“絶妙な距離感”

ーー鍛錬を積んできただけに「まさか」と思われるでしょうね。

 収録前に出場者の取材に行くので、その際に「練習セットを作った」と言われて見せてもらうけど、ちょっと違うんですよ(笑)。「乾さん、僕のセットはどうですか?」と聞かれて、内心は「多分、これじゃ本番はダメだな」と思いつつも「よく作ったね」とは答えるんですけどね。

ーーその近いようで近すぎない、出場者たちとの絶妙な距離感が番組を面白くしている気がします。

 山田さんが出てきたり、彼を中心にした「SASUKEオールスターズ」ができた頃も、そんな感じでしたね。まだインターネットもないですから、何カ月かに1回くらい電話で山田さんに「どうなの最近?」「妻が妊娠しまして」「じゃあ、予定日が近くなったら教えてくれる? 取材に行くから」っていう程度のお付き合いだったんですよ。

 いまはSNSもあるし、彼やオールスターズの面々と簡単に連絡も取れるし、向こうも僕のSNSを見て動向を把握できるようになってますけど、あの頃と変わらない距離感ですね。

【次ページ】 出場者同士のグループは、“食事会”から誕生する

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