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大人気番組『SASUKE』の演出家が明かす“知られざるウラ側”と名物エリア誕生秘話「クリフハンガーは山田勝己さんの懸垂を見て…」

posted2021/12/28 11:06

 
大人気番組『SASUKE』の演出家が明かす“知られざるウラ側”と名物エリア誕生秘話「クリフハンガーは山田勝己さんの懸垂を見て…」<Number Web> photograph by Wataru Sato

『SASUKE』第一回から演出として番組に携わる乾雅人さん

text by

平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

PROFILE

photograph by

Wataru Sato

 今年で25年目、39回目を迎えるTBSのスポーツ・エンタテインメント番組『SASUKE』。 その総合演出を務めているのが、乾雅人氏(57)だ。
 そんな彼に『SASUKE』スタートまでの経緯、名物エリア「そり立つ壁」「クリフハンガー」などの誕生秘話、安全対策などについて、話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ続く)。

 ◆◆◆

「忍者みたいなのを作っておいてよ」SASUKE誕生の経緯

ーー97年のスタートから今年で24年、39回目を迎える『SASUKE』ですが、誕生の経緯を教えてください。

 1995年に始まった、同じTBSの『筋肉番付』が発端です。1997年の春に2時間スペシャルをやって、そのなかで「ハンドウォーク」という逆立ちでアトラクションを越えていくコーナーを設けたんです。担当は僕ではなかったんですけど、その視聴率が良くて。当時のTBSのプロデューサーが「ハンドウォーク」を超える新しい企画が欲しくなったようで、「忍者みたいなのを作っておいてよ。半年後に撮るから」って言われたんですよ。

 けど、「忍者みたいなやつ」って言われてもね。いまでこそ「『SASUKE』っぽいやつ」でピンとくるけど、当時だったらアトラクション番組といったら『風雲!たけし城』くらいしかなかったじゃないですか。なので、そもそもどういうものかってところから着手して。

ーープロデューサーの方からの要望は、漠然としているにも程があるといいますか。

 TBSの美術に大御所的なデザイナーさんがいらして、その方と4カ月くらい週2で会って話をして。個々のアトラクションより、まずは世界観を固めていこうと。ヨーロッパの建築様式や歌舞伎の表現なんかをレクチャーしてもらって、イメージを作っていったんですよ。

 プランニングの取っ掛かりとして、セットはいくつ必要なのだろうと。『SASUKE』の「1stステージ」にあたる部分は“1つ目の塊”と呼んでました。それで、2つ目の塊、3つ目の塊、最後にタワーを作ろうとなって、どういう繋がりにするのかを考えたんですよね。

ーーその時点では、エリアについて具体的なものは考えてもいなかった。

 全然です。1つ目の塊では遺跡のある草原を駆ける、2つ目では化学工場の内部に潜入、3つ目はブラ下がっていないと落ちちゃう奈落、最後は綱登りのタワーにしようと。で、工場に潜入して、奈落もクリアした者がロケットに乗り込んでどこかへ飛んで脱出すると。

 そういう世界観と流れになって、1つ目では走って駆け抜ける、2つ目では狭いところを走ったり、重い扉を持ち上げるとかを描いたイメージボードを作ったんです。そして、それぞれに相応しいエリアを考え出していったわけですね。

【次ページ】 「そり立つ壁」「クリフハンガー」はどのように生まれたか?

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