駒澤大学へ進学予定、大八木監督は「プレッシャーです(笑)」

　すでに、三浦を越える戦略をイメージし、課題も明確。まずは目前に迫った全国高校駅伝での優勝を目指す。「（エース区間の）1区というよりも、後半区間で前を抜いていくほうが得意なんです」と言うと、横でその発言を聞いていた奥村隆太郎先生が「存じております」とうなずいた。

洛南OBで就任9年目の奥村隆太郎監督

　佐藤は来春、大八木弘明監督が率いる駒澤大学に加入することになっており、大学駅伝界の名将と最強ルーキーがどんな化学反応を見せるのか、今から楽しみで仕方がない。大八木監督は佐藤について「高校記録保持者を預かるのはプレッシャーです」と笑っていたが、本人はルーキーながら1500mで来夏のオレゴン世界陸上出場を目指したい、という。

「三浦さんに勝たないと、世界はないので」

「そのために世界と戦える3分31秒、32秒くらいのタイムを出したいです。東京五輪1500mで金メダルだったノルウェーのヤコブ（・インゲブリクトセン）っているんですけど、優勝タイムは3分28秒32。まだ21歳の選手で、自分の目標です。自粛期間で暇だったんで動画とかすごい見ていたんですけど、彼が18歳のときのレースを見たら3分31秒でした。高校記録を出しても、今のままで満足しちゃいけないと思っています」

　国際大会での経験を踏まえて、24年パリ五輪へのステップとするためだ。そしてさらりと大迫傑氏が持つ5000mの日本記録（13分8秒40）を超える大台突破にも言及したりする。

「大学に入ると注目される箱根駅伝でも、出るからには勝ちたいですし、将来的には5000mと10000mで世界と戦いたい。5000mでは日本人で初めて12分台を出したいです」

　三浦という存在を通して、世界との距離を測ってきた末恐ろしい17歳。優しい普通の高校生だった先輩がオリンピアンとして入賞できたのだから、自分も戦えるはず――。最後に、冒頭の「負けたくない」という言葉の真意を聞くと、これ以上ない答えが返ってきた。

「三浦さんに勝たないと、世界はないので」

練習を終えた佐藤ら。佐藤は来春に駒大に進学、さらにその先も見据えている