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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
二塁・菊池涼介、遊撃・坂本勇人の守備範囲を見ると…?「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈セリーグ編〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2021/12/21 17:16
坂本勇人と菊池涼介。東京五輪の日本代表でも鉄板の二遊間だったが、守備指標だけで見ると……?
レフト青木、ライト鈴木誠也の補殺数が素晴らしい
一般的に左翼はあまり守備が得意でない選手が守ることが多いので、受賞することは少ない。しかし今季の青木宣親はリーグ2位の9補殺。ピンチで的確に走者を刺したことがわかる。ポジション別の選考なら、左翼は青木だっただろう。
中堅では守備に定評のある中日の大島と阪神の近本が選ばれた。守備範囲の広さでは巨人の丸も引けを取らないのだが、今季は打撃不振の時期が長く印象が悪かったのではないか。
右翼は広島の鈴木誠也。今のセ・リーグの外野守備で鈴木は傑出した存在だ。
本来、守備範囲を示すRFは中堅手が上位を占めるはずだが、右翼の鈴木が1位、守備範囲が恐ろしく広かったのだ。そして補殺は断トツの14、相手チームの三塁コーチにとって鈴木は脅威以外の何物でもないだろう。守備範囲の広さと鉄砲肩、鈴木誠也は往時のイチローのような存在だった。
広島の外野手としては山本浩二以来の名手で、MLBでも十分に通用するはずだ。
盗塁阻止率を見ると1位は巨人の“あの捕手”
捕手のRFはその多くが三振の処理なので、あまり重要ではない。守備率に加え、盗塁阻止率を考慮したい。
【捕手】
◎中村悠平(ヤ)/守率.998(2)RF7.85(1)阻止率.255(4)
大城卓三(巨)/守率.999(1)RF6.24(4)阻止率.447(1)
木下拓哉(中)/守率.998(3)RF6.99(2)阻止率.426(2)
梅野隆太郎(神)/守率.993(4)RF6.82(3)阻止率.288(3)
ここ3年、阪神の梅野が獲得していたが、今季はやや精彩を欠いた印象だった。そこでヤクルトの中村が2回目の受賞となったようだ。前回のゴールデングラブもリーグ優勝した2015年であり、ベストナインともども“ご祝儀”という印象がある。数値を見てみると、盗塁阻止率の低さが少し気になる。
巨人の大城は3年前までほとんど走者を刺せなかったが、今年は長足の進歩だ。まだ「正捕手」という印象は薄いが、こういうところも評価すべきだろう。
投手のゴールデングラブはベストナインともども中日の柳裕也が獲得したが、毎年、投手成績の良い投手が選ばれている印象だ。投手は出場試合数が少なく、守備機会も少ないため、印象で選ぶことになるのだろう。
ここまで見てきたように、ゴールデングラブはどうしても「イメージ」で選考されがちだが、純粋に守備の貢献度で選考するのが本来の在り方だと思う。<パ・リーグ編に続く>
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