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二塁・菊池涼介、遊撃・坂本勇人の守備範囲を見ると…?「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈セリーグ編〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byShinya Mano/JMPA

posted2021/12/21 17:16

二塁・菊池涼介、遊撃・坂本勇人の守備範囲を見ると…?「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈セリーグ編〉<Number Web> photograph by Shinya Mano/JMPA

坂本勇人と菊池涼介。東京五輪の日本代表でも鉄板の二遊間だったが、守備指標だけで見ると……?

坂本の“守備範囲”を見ると「ベテランの域」に?

【遊撃手】
◎坂本勇人(巨)/守率.991(1)RF3.83(3)
京田陽太(中)/守率.985(2)RF4.02(2)
小園海斗(広)/守率.977(3)RF3.81(4)
中野拓夢(神)/守率.970(4)RF4.48(1)

 遊撃手はRF、守備率の順で考慮すべきポジションだ。遊撃手のRFは4以上は欲しいところ。坂本の肩の力を抜いた、流れるような遊撃守備は名人芸の域に達しているとは思うが、RFはやや物足りない。RFがそれほど良くなくて守備率がいいというのは菊池同様、坂本が「ベテランの域」に達していることを意味している。

 なおセ・リーグのこのポジションは2013年から3年連続で阪神の鳥谷敬が選ばれ、その後の6年間では坂本が5回選ばれている。鳥谷も最後の方はRFが小さくなっていった。

 ゴールデングラブ賞は1972年、ダイヤモンドグラブ賞として創設されたが、創設から2年間、三塁手には巨人の長嶋茂雄が選ばれた。73年限りで引退した長嶋は、さすがに守備の衰えは隠せなかったのだが、最終年もMLBで守備の名手として知られた大洋のクリート・ボイヤーと同時受賞だった。記者の頭には「セの三塁は長嶋」という意識がこびりついていたのだろう。

 坂本はベストナインも受賞した。2000本安打もクリアしたが、「長嶋化」が進んでいるのかもしれない。

外野手をメーンポジション別に分けてみると

 NPBでは外野手の守備記録は一元的に発表されるが、MLBでは左翼、中堅、右翼に分けられている。一口に外野と言っても、ポジションが異なれば役割も変わる。ここでは規定試合数以上の外野手をポジション別に分ける。

 また外野手では確実性を示す守備率、守備範囲の広さを示すRFに加えて、遠投などで走者を刺す捕殺数も重要な指標になる。カッコ内は外野手全体での順位である。

【外野手】
・左翼手
青木宣親(ヤ)/守率.976(14)RF1.71(9)補殺9(2)
佐野恵太(De)/守率.980(13)RF1.39(12)補殺6(5)
西川龍馬(広)/守率.992(6)RF1.95(4)補殺6(5)

・中堅手
◎大島洋平(中)/守率.996(2)RF1.94(5)補殺3(11)
◎近本光司(神)/守率.996(3)RF1.91(7)補殺4(8)
丸佳浩(巨)/守率1.000(1)RF2.05(2)補殺4(8)
桑原将志(De)/守率.988(9)RF1.91(6)補殺2(13)
塩見泰隆(ヤ)/守率.982(12)RF1.95(3)補殺4(9)
山崎晃大朗(ヤ)/守率.993(5)RF1.24(14)補殺2(13)

・右翼手
◎鈴木誠也(広)/守率.989(8)RF2.14(1)補殺13(1)
オースティン(De)/守率.993(4)RF1.50(11)補殺7(3)
松原聖弥(巨)/守率.990(7)RF1.68(10)補殺3(11)
サンタナ(ヤ)/守率.986(10)RF1.35(13)補殺5(7)
佐藤輝明(神)/守率.983(11)RF1.72(8)補殺7(3)

【次ページ】 レフト青木、ライト鈴木誠也の補殺数が素晴らしい

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