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「M-1」ラストイヤー(結成15年)のハライチはここで誕生した…埼玉県の“ナゾのM-1駅”「原市(ハライチ)駅」には何がある?
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2021/12/19 11:00
埼玉新都市交通(ニューシャトル)の原市駅。人気コンビ・ハライチを生んだ街には何がある?
広々とした国道とトラック
原市駅の東口にある小さな公園の一角に開発の経緯を記した碑があった。読んでみると、ニューシャトル開通によって開発が本格化する中で、無秩序に市街化が進むとまずいよね、となって計画的な開発を進めるための区画整理事業が行われたということのようだ。昭和の終わりから平成の初めにかけてこの一帯の区画整理が行われて、以前の田園地帯から住宅地へと変貌していったのである。
さらにこの住宅地のすぐ南側には国道16号が通っている。国道16号と第二産業道路が交差し、さらに国道16号を西に行けば国道17号、東に行けば東北自動車道。つまり埼玉県のおおよそ中央部にあたる交通の要衝の一角に原市の町はある。国道16号沿いには物流拠点のような施設がいくつも見えるし、歩道橋から西側を望むと工場がいくつも建っている。広々とした国道と行き交うトラック、そして工業団地。大宮からほんの10分の近さでも、こういった北関東らしい光景が広がっているのであった。
昔ながらの戸建て住宅から最近になって建てられたとおぼしき新しい戸建て住宅もあって、背丈の低いマンションにアパート。ところどころに公園が緑を潤し、国道や産業道路沿いに出たらロードサイト系の飲食店や商業施設が建ち並ぶ。ニューシャトルに乗ればものの10分で県下最大のターミナル・大宮に出ることができて、そこから東京に出るのもあっという間だ。
新築マンションがいくつも建ち並ぶ目下再開発中の町ではないので、いまから原市に暮らそうというのはちょっと難易度が高いかもしれないが、静かで穏やかな住宅地の原市は、あんがいに悪くない。
帰路、原市駅の高架ホームに立てば新幹線の線路を挟んで遥か遠くに夕映えの富士山。このホームからの絶景も、ニューシャトル沿いの町の魅力のひとつなのかもしれない。
(写真=鼠入昌史)